犯罪被害者などの多様なニーズに総合的に応えるネットワーク構築を目指し、長崎県被害者支援連絡協議会総会がこのほど、長崎市で開催された。総会では、94年6月に長野県松本市で起きた「松本サリン事件」被害者、河野義行さん(58)が講演した。
河野さんは「自分が犯罪被害者になるなど考えたこともなかった。人ごとではない。誰もが被害者になりうる」と語った。そして▽マスコミの過熱報道▽医療費など経済的な問題▽PTSD(心的外傷後ストレス障害)--の3点を犯罪被害に遭った際の問題点として挙げた。
河野さんは、サリン中毒症状などの被害だけでなく、河野さんを容疑者扱いするマスコミの報道被害も受けた。誤報確認が取れた後も、しばらくは報道内容を訂正しなかったマスコミの姿勢にも疑問を投げかけ、「妻や3人の子供を守らなければという一心で無実を訴えた」という当時の様子を克明に話した。
河野さんは、犯罪被害者のための「犯罪被害者保険」創設や、犯罪被害者を迅速に支援する体制作りの必要性も訴えた。【蒲原明佳】
毎日新聞 2008年12月10日 地方版