どくしょ応援団

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トライライトノベルス細谷正充

異世界で真のヒーローに

(1)水無神知宏『此(これ)よりは荒野』
人間と魔族や亜人(あじん)が、それなりに共存している、19世紀末のアメリカ西部。家族を殺された少年と、かつて彼を助けた拳銃使い(ガンスリンガー)の少女が再会したとき、闘いと復讐(ふくしゅう)のドラマの幕が上がる。キャラクターよし、ガンアクションよし、ストーリーよし。これは凄(すご)い、面白い。ファンタジーと西部小説という異色の組み合わせにより、とてつもなく魅力的な物語が生まれたのだ。(ガガガ文庫・700円)
『此(これ)よりは荒野』
著者:
水無神知宏
出版社:
ガガガ文庫
価格:
¥700(税込)
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(2)林亮介『生還まで何マイル?』
怪物の徘徊(はいかい)する迷宮の探索というとゲームのようだが、本書にリセットはない。死亡率14%。これが、京都・迷宮街の現実だ。それでも人々は、さまざまな理由で、危険な非日常に足を踏み入れる。何が彼らを、駆り立てるのか。作者は群像劇の手法で、目的も立場も違う複数の人物の肖像を、鮮やかに掘り下げていく。ガッツリとした、歯ごたえのある作品だ。(GA文庫・630円)
『生還まで何マイル?』
著者:
林亮介
出版社:
GA文庫
価格:
¥630(税込)
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(3)榊一郎『イコノクラスト!(10)』
高校生になったばかりの天然マイペース少女が入部したのは、軽小説部――通称ラノベ部だった。ライトノベルを読んだり、部員とおしゃべりしたり、リレー小説を執筆したりと、書かれているのは高校生の何てことのない日常。でもこれが、やたらと愉快なのだ。彼らが交わす、ライトノベル談議も興味深い。ライトノベルへの愛に満ちたライトノベルである。(MF文庫J・609円)
『イコノクラスト!(10)』
著者:
榊一郎
出版社:
メディアファクトリー
価格:
¥609(税込)
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細谷正充 ほそや・まさみつ 文芸評論家。1963年埼玉県生まれ。時代小説やミステリー、ライトノベルスなどを中心に評論活動を展開。著書・編著書に『江戸の鈍感力』『宮本武蔵の「五輪書」が面白いほどわかる本』『松本清張を読む』『武士の本懐』など。