【ポズナニ(ポーランド)=山口智久、石井徹】13年以降の温暖化防止策について話し合う国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP14)は10日、二つの作業部会の決定案などが示された。11、12の両日開かれる閣僚級会合を前に各国の意見対立に配慮、進展に乏しい内容になった。
京都議定書の下での先進国の温室効果ガスのさらなる削減に関する作業部会の決定案は、先進国全体の中期目標について「温暖化の影響を最小化するのに必要な『20年に90年比25〜40%削減』という国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告を認識する」とした。25〜40%の削減は多くの途上国が主張しており、当初「IPCCの情報に基づくべきだ」と表現を強めたが、日本などの反対で昨年のCOP13合意と同じ表現に戻った。
日本が主張する「セクター別アプローチ」の表現も消え、削減可能性や有効性、削減効率などの分析を考慮すべきだとした。中期目標については、来年3月の次回作業部会までに「できれば情報を提出する」とするにとどめた。
米国を含むすべての国が参加する作業部会は、各国からの提案をまとめた文書の改訂版を作成した。約120ページにおよび、提案を絞り込むことなく整理している。
閣僚級会合に出席する斉藤環境相は10日、現地で記者団に対し、中期的な温室効果ガス削減幅について、政府の検討委員会に議論を委ねていることから「こういうものであるべきだと申し上げられる立場にない」と述べ、今回は明確にしない考えを示した。また「先進国が野心的な目標を定めることは途上国を参加させる意味で非常に大事だが、途上国の参加も大切だ」と述べ、途上国にも一定の削減努力を求める考えを示した。