県議会は10日、本会議を開き、県立病院・地域診療センターの無床化計画の撤回を求める請願について、付帯意見を付け賛成多数で採択した。達増拓也知事は本会議終了後、「地域医療や健康、命を守る目的は(議会も知事も)同じ。計画案はベストなもので、今後は説明・周知をきちんとやっていく」と撤回しない考えを示した。
付帯意見は「当該地域や市町村との十分な協議・説明がないままの計画提示で拙速だ」と指摘。「今後の県の政策医療の姿や財政負担のあり方など総合的な視点で協議を行い、地域医療の将来像を明示することが必要だ」として、地域住民との合意形成による不安の払拭(ふっしょく)や、協議の継続などを求めている。
本会議には約130人が傍聴に詰め掛け、請願の行方を見守った。九戸地域診療センターのある九戸村の医療を守る会の関口誠治会長(68)は「ひとまず安心した。達増知事には議会と住民の熱意をくんでぜひベッドを残してほしい」と話した。
一方、達増知事は本会議前の定例会見で、知事自身が計画説明会に参加する考えがあることを明らかにした。また「私自身も元々無床化に反対だった」と告白。「反対したことが、岩手の医師不足を加速させたのではないかと罪悪感を感じ、罪滅ぼしのためにも今回はしっかりやらなければいけないと思っている」と話した。
県議会はこの他、委員会で不認定とした07年度一般会計決算などを除く決算12件、約2億3144万円を増額する08年度一般会計補正予算案など議案56件、県議会基本条例や不正経理に絡む事務処理の適正執行を求める決議案などの発議案15件を可決し、閉会した。【念佛明奈、安田光高】
毎日新聞 2008年12月11日 地方版