兵庫県が、公立浜坂病院(新温泉町二日市)に派遣している県養成医師を今月末で引き揚げる方針を固め、新温泉町に伝えていたことが十日、分かった。同町は派遣継続を求めているが、派遣が中止されると同病院の常勤医師は五人から四人に減り、診療体制や夜間救急などに影響が及びそうだ。
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県養成医の引き揚げが懸念される公立浜坂病院=新温泉町二日市
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県は、奨学金を支給した十六人の養成医を但馬地域の病院に派遣。浜坂病院にも内科医一人を常勤医として派遣している。町によると、今月初めに県から「医師を引き揚げたい」との連絡があったという。
但馬地域の医師不足の深刻化を受け、県は養成医を派遣する中小病院に対し総合診療部門を設けて対応するよう求めており、浜坂病院も総合診療を行うことを決めていた。ただ、既に実施している他病院に比べ、同病院の医師数が多く、派遣中止を打ち出したとみられる。
引き揚げ後の常勤医師は内科医一人、外科医二人、麻酔科医一人の計四人となり、内科の二診体制の維持が困難になるほか、夜間救急の受け入れや病床数にも影響が生じる恐れがあるという。
但馬地域の医務を管轄する県但馬長寿の郷は「急性期と位置付けた公立豊岡病院の負担が加重になっており、医療崩壊を防ぐための措置。業務量の多いところに回さざるを得ない」と説明。さらに「派遣可能な人数が限られている」とし、派遣継続を困難とする見方を示した。
昨年度まで同病院には、常勤の養成医二人が県から派遣されていたが、今年度から一人に削減されていた。