と言いながら、猫が来た。今日は何処で、
暑い日中を過ごそうか考えている。そして言った。
「ハロー。皆様、今日は。猫4号ですね。
先日、お散歩中に、小さな手帳を拾いましたね。
5cmX10cm位の、緑色の表紙をした手帳ですね。
そこには、不思議な体験。不思議な旅が書かれていましたね。
字の形から見ると、主人公は猫ではなくて、
人間の若い男性ですね。
ご両親が家を新築したので、新築祝いに駆けつけましたね。
その家は、表から見ると2階建てで、2階がご両親の家ですね。
結構広くて、迷子になりそうでしたね。
皆様ご存知の吉野家の4店分くらいの広さがありましたね。
リビングルームもとても広くて、
100インチくらいの大画面テレビを、親戚一同で見ていましたね。
「飲めや歌え」の宴会でしたね。
主人公はのどが渇いたので、台所に行って水を飲もうとして、
階段を下りてゆきましたね。
両親の家は2階だけのはずですが、
階段を下りることに抵抗感は無かったですね。
すると、そこは開店したばかりのイタリア料理店でしたね。
若い男女が、せわしなく働いていましたね。
その中には、東アジア系の男女に混じって東南アジア系の人も居ましたね。
彼らはミュージカルのように、メニューを読み上げ、
忙しく注文を取り、楽しそうに働いていましたね。
主人公は皆があまりに楽しそうなので、
注文をとっても良いかとたずねたところ、OKをもらいましたね。
一緒に働いて驚いたことに、
彼らは、文字については読むことは出来ても、書くことは出来ず、
数字についても読むことは出来たが、計算することは出来なかったですね。
そこで気持ちが悪くなったので、2階に帰ろうとしたら、
下りてきた階段は、影も形も無く、実はこの階が2階でしたね。
そこで、1階に下りて店から出て、10歩ほどして振り返ると、
店の姿は無く、寂しそうな空き地で、
一匹の猫が歩いていましたね。
ヤオング。」と言うと、いつものように、猫は居なくなってしまった。