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【主張】女児殺害判決 裁判員制の教訓としたい

2008.12.11 03:22
このニュースのトピックス主張

 死刑判断か、1審通り無期懲役になるか注目された広島市安芸区の小1女児殺害事件の2審判決は、広島高裁が1審判決のずさんさを指摘し、同地裁に審理のやり直しを命じるという予想外の判決を下した。

 1審は、来年5月21日から始まる裁判員制度のモデルケースとされ、裁判迅速化のため争点を絞り込む「公判前整理手続き」や連日開廷による集中審理方式が実施された。

 その結果、重大事件では約50日で判決が言い渡されるという異例の早さで終結した。検察、弁護側双方が量刑不当などを理由に控訴したため、広島高裁で審理されていたが、同高裁の判断は、「1審は審理を尽くしていない」と結論付けた。

 なぜ、このような判決が下されたのか。半年後に迫った裁判員制度に向け、裁判所、検察側は詳しく2審判決の内容を検証し、同制度運用への教訓とすべきだ。

 裁判員制度は、一般市民の社会的な常識を裁判に反映させることを目的に、殺人などの重大事件に限って職業裁判官3人と法律に素人の一般市民6人が1審だけを審理する。2審以降はこれまで通りである。

 広島市のような事件も、裁判員制度が始まれば、当然審理対象の事件となるだけに、無関心ではいられない。

 ところが、広島高裁の判決は、1審の訴訟指揮や検察官の訴訟活動の不手際を手厳しく批判する内容だった。

 1審は裁判の迅速化という裁判員制度を意識しすぎ、重要な供述調書の調べなどが見送られた。広島高裁は判決理由で、「審理不尽の違法があり、事実認定にも疑問がある」とまで言及した。

 裁判迅速化は必要だが、1審判決のような雑な審理では、せっかくの裁判員制度を崩壊させることにもなりかねない。拙速審理は、冤罪(えんざい)にもつながる。

 そのためにも、2審判決が指摘するように公判前整理手続きに十分な時間を割いて、証拠調べを慎重に行い公判に備える必要があろう。公判になれば、裁判員にもわかりやすく、丁寧な審理を常に心がけることが求められる。

 同制度が始まり、今回のようなやり直し裁判となれば、また新たな裁判員を選んで審理する。これでは裁判員の負担、不安は増し、制度の意味はなくなる。

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