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チェンバロ:壊した市民楽団に440万円賠償命令

 国際的に有名なチェンバロ製作者、高橋辰郎さん(56)と演奏家の妻尚子さん(56)=東京都江戸川区=が、ずさんな扱いでチェンバロを壊されたとして、江戸川区の市民楽団「江戸川フィルハーモニーオーケストラ」と団員に880万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は10日、440万円の支払いを命じた。笠井勝彦裁判官は「適切な運搬方法を正しく理解して運搬する注意義務を怠った」と指摘した。

 破損したのは辰郎さんが86年に製作したチェンバロ。高額な楽器の損害賠償を巡る裁判は珍しいが、辰郎さんが89年に同型のチェンバロを米国のジャズピアニスト、キース・ジャレットさんに400万円で売った経緯から、判決は壊れた楽器の経済的価値を400万円と認定した。

 判決によると、尚子さんは06年7月、江戸川フィルから協演依頼を受けたが、団員が演奏会場に搬入する際にチェンバロが落下して修復不能になった。江戸川フィル側は「高橋さんが用意した台車のボルト脱落が原因」と主張したが、笠井裁判官は「台車の車輪がタイル張りの凹面に引っかかったのに、団員がそのまま押し続けたため台車の脚部分が破損して事故が起きた」と判断した。

 辰郎さんは「責任が江戸川フィル側にあることが認められた。壊れた楽器は戻って来ないが、判決が楽器を扱う人にとって多少の警鐘になってくれれば」と話している。【銭場裕司】

毎日新聞 2008年12月10日 21時42分

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