「【ステージドア】ミュージカル「ＲＥＮＴ」モーリーン役　歌手Ｍｉｚｒｏｃｋさんインタビュー」の記事詳細：イザ！

記事本文

　≪はじける生命力　ロックで感じて≫

　あっぱれなハジけっぷりなのである。東京で上演中のミュージカル「ＲＥＮＴ」（エリカ・シュミット演出）で、同性愛で拒食症の歌手、モーリーンを演じる歌手Ｍｉｚｒｏｃｋ（ミズロック、２７）。身長１５０センチのファニーフェースが、歌い出すと客席の空気を持っていってしまう。うまい、面白い、ヘンだけどイイ！　初舞台と思えぬ堂々のパフォーマンスは、国内外で培った音楽キャリアに支えられている。

　ニューヨークを舞台に、アパートの家賃（レント）さえ払えない若者がエイズウイルス（ＨＩＶ）に感染し、死を意識しながら今を精いっぱい生きる物語。米国で１２年のロングランとなった作品で、モーリーンは森山未来演じる主人公の元恋人の歌手役だ。

　「行きつくところまで行ける役なので、心の準備は楽だった」と笑うＭｉｚｒｏｃｋ。一幕終わり、尻を露出した“半ケツズボン”に、コンドーム付き謎のバッグを抱え、家賃をめぐる抗議ライブで歌う「Ｏｖｅｒ　Ｔｈｅ　Ｍｏｏｎ」。ハンディ持ちの登場人物や観客への応援歌であり、素っ頓狂さ生命力も感じさせる一曲。客席を巻き込むライブならではの盛り上がりは、「今を生きる」という作品テーマにもふさわしい。「信じれば、月をも突き抜けられると歌っていたんですが、それはＭｉｚｒｏｃｋだった。今はモーリーンとして、反発心や強いエネルギーもプラスしています」

　■「バカになっちゃえ」
　歌手のキャリアは１０年近いが、女優は初経験。オーデイションの記憶はあまりの緊張に定かでないが、後日、聞かされたところによると「（演出の）エリカの所に走り寄って、Ｔシャツ脱いで下着姿で『Ｔｈａｔ’ｓ　ａｌｌ！（以上）』と言ったらしいです」

　モーリーンそのもののパフォーマンス。エリカからは「そのまま演じて」と指示された。「その意味が分からなかった。モーリーンは単なるワイルドな人間でなく、拒食症で男女とも愛する人間。悩みました」

　震えが止まらない状態で迎えた初日、「中途半端ではダメ。バカになっちゃえ」と舞台に飛び出したら観客がノッてきた。「お客さんに助けられました。ＲＥＮＴをやって、今生きることの大切さを実感しています」

　■挫折と海外ブレーク
　１８歳で歌手デビューしたが挫折。２００４年、スウェーデンで再デビューしたところ、シングル「Ｗａｉｔｉｎｇ」が初登場８位を記録。さらに初アルバムも台湾チャートで２週連続１位を記録した。台北でのコンサートでは、４万人との一体感も味わった。

　今、自分を知らない観客を前に、いかにいい時間を共有してもらえるかに腐心する。「ロックで熱いレント魂を、お客さまに感じてほしいですね」
　（文：飯塚友子／撮影：矢島康弘／ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）
　　　　　　　◇
　■ミズロック　歌手。１９８１年、北海道出身。１８歳でデビューし、２００４年にＭｉｚ名で再デビュー。シングル「Ｗａｉｔｉｎｇ」がスウェーデン音楽チャートで初登場８位、ファーストアルバム「Ｓａｙ　Ｉｔ’ｓ　Ｆｏｒｅｖｅｒ」が台湾で２週連続１位を記録。０７年にＭｉｚｒｏｃｋに改名。ジャンルと国境を超えた幅広い音楽シーンで活躍中。
　　　　　　　◇
　【ガイド】
　■ＲＥＮＴ
　１２月３０日まで、東京・日比谷のシアタークリエ　（電）０３・３２０１・７７７７
　来年１月８日～１２日、大阪のシアターＢＲＡＶＡ！　（電）０６・７７３２・８８８８

記事タイトルまで戻る