警察庁は、動体視力など身体機能に衰えがない高齢者について、運転免許更新時に義務付けられている高齢者講習を大幅に軽減する方針を決めた。
75歳以上のドライバー全員に表示が義務付けられた「もみじマーク」についても見直す方針で、近く道交法の改正に着手する。高齢ドライバーは年々、増加傾向にあり、健康な高齢者については積極的に支援していく必要があると判断した。
同庁は今年9月、有識者らでつくる検討委員会を設置し、高齢ドライバーの支援策を協議してきた。
70歳以上が対象の高齢者講習は、座学、運転実技、運転適性検査の計3時間で、更新手数料のほか受講料6150円がかかる。検討委では「高齢者だけ負担が重い」との意見が大半で、軽減することで一致。運転適性検査の動体視力検査やシミュレーターを使った反応速度検査で一定基準をクリアした高齢者については実技試験などを免除し、受講料も割り引く。
75歳以上の高齢ドライバーに義務化されたもみじマークを巡っても、検討委では「高齢者を保護するマークに罰則があるのはおかしい」との批判が相次いだ。
当初、身体機能に衰えがない高齢者に限って免除することも検討されたが、「差別につながる」との反対意見もあって見送られた。同庁は今後、違反点数1点、反則金4000円の罰則を軽減することや、猶予期間を延長することなどを検討していく。
もみじマークを表示した車については、優先的に駐車できる区画の設置を検討。表示した車への幅寄せや割り込みなど、運転妨害行為に対し、現在の違反点数1点、反則金6000円からさらに厳しくする方向で調整している。
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