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医療安全情報:事故例集 受け取りは全国の病院の半数以下

 医療事故や医療ミスの実例を紹介して再発防止に役立ててもらおうと、厚生労働省所管の財団法人・日本医療機能評価機構が無料配布している「医療安全情報」を、全国約9000病院の過半数が受け取ってないことが分かった。年間約1億2000万円の予算が使われている国の医療事故情報収集事業の成果が現場で生かされていない格好で、機構は11日から全病院に改めて情報の活用を要請する。【清水健二】

 国の医療事故収集事業は、04年10月にスタート。責任追及と切り離すために匿名で情報を処理し、厚労省の業務委託を受けた同機構が分析。事故やミスが相次いで注意喚起が必要と思われる事案は、医療安全情報としてファクスで病院に流すことになっており、これまで「手術部位の左右取り違え」「人工呼吸器の回路接続間違い」など24回発行された。

 しかし、機構が過去に2度、全国の病院に文書を送って医療安全情報を受け取るよう要請したが、同意したのは全国9108施設の半数以下の4232施設にとどまる。医療事故や事故手前の「ヒヤリ・ハット事例」の収集に参加している病院も、医療法で報告が義務付けられている大学病院などを除くと約1000施設しかない。

 同機構に集まる事故報告は年間1500件近くに上り、発生原因や当事者の勤務状態なども分析している。医療安全情報の内容について、病院から不満などは寄せられておらず、関心の低さが受け取らない主な理由とみられる。

 後信・医療事故防止事業部長は「せっかく集めた実例が不必要なはずはなく、病院は関心も持たずに『事故防止対策を取っている』と言っても説得力がない。医療界の信頼を高めるためにも、せめて情報は受け取ってほしい」と話している。

毎日新聞 2008年12月10日 15時00分(最終更新 12月10日 15時00分)

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