治療薬タミフルが効かないインフルエンザの県内発生率は昨冬、他都道府県と比較して突出して高かった。このことについて平井伸治知事は9日、県議会本会議で感染ルートを調べるため疫学的な調査に乗り出す方針を明らかにした。森岡俊夫議員(無所属)の一般質問に答えた。
県健康政策課によると、国立感染症研究所の調査で、タミフルに耐性を持つAソ連型インフルエンザが、県内では68株中22株見つかった。全国では1734株中45株で、全国平均は2・6%。島根県は1・2%でしかない。県内の32・4%は突出して高いが、原因は不明という。
耐性は、タミフルを服用したことから生じたのではなく、ウイルスの遺伝子が変異したことによるものとみられ、県東部と中部で多く見つかった。症状は通常のインフルエンザと同じで、予防接種は有効という。
県は今冬、これまでの小児科8医療機関だけでなく、内科6医療機関にも協力を求め、例年の2倍にあたる約200検体を集めて調査する方針。患者に渡航歴や感染状況を尋ね、感染経路も調べる。また、新型インフルエンザ対策として、別の坑インフルエンザ薬リレンザの備蓄も進めていく。
平井知事は「非常に憂慮しているが、パニックになる必要は全くない」と話した。【小島健志】
毎日新聞 2008年12月10日 地方版