2008年12月02日 (火)視点・論点「児童ポルノ根絶に国際連携」
日本ユニセフ協会大使 アグネス・チャン
11月25日から28日、ブラジルのリオデジャネイロで、「第3回子供・青少年の性的な搾取に反対する国際会議」が行われました。
ユニセフとブラジル政府が主催するこの会議に、140カ国の政府・NGO・民間援助団体・企業・子供たちの代表が3千人以上集まった。拡大し続ける児童買春・児童ポルノ・人身売買の問題について、真剣に議論が交わされました。
今回の会議は、第3回。1回目はストックフォルムで行われたんです。この会議で、日本は加害国であると非難されました。大量の児童ポルノが日本から流れてくるのに、それなのに国は、何もやってませんと、指摘されました。
それを受けて、1999年「児童買春・児童ポルノ禁止法」が成立。そして2001年「第2回世界会議」は日本の横浜で行われました。これらの行動は外国で大変評価されました。2004年「児童買春・児童ポルノ禁止法」改正法の成立。2005年「子供の性的搾取に関する『子供の権利条約の選択議定書』」に批准。そして今回の会議に至るわけです。
残念ながら、グローバル化、インターネット、最新技術の普及によって、児童買春・児童ポルノ、そして人身売買、減るどころか問題は拡大化しています。にもかかわらず摘発すること、全体像を把握することの難しさに、各国、痛感しています。
でも、進展はあったんです。日本の中でも大きく報道されましたが、今回の国際会議の直前に、日本の中でイーミュールというソフト、これはコンピュータのソフトなんですけど、ファイルを交換できるソフトですね。それを通じて、大量の児童ポルノが、日本から流れ出しているという情報があったんです。それによって、日本人3人が逮捕されました。
それは、どうしてできたかというと、国際協力です。国際刑事警察機構、70カ国の警察の関係者が、一斉に取り締まりを行ったんです。それによって、日本から流れてくる児童ポルノの情報があって、それで逮捕とつながったわけです。
報道によると、日本人の3人の持ったファイル、昨年の12月から今年の10月まで、日本の中、そして外国で、全部で30万件超えるアクセスがあったそうです。
こういうようなデータはなかなか手に入らないのですが、今回の国際会議の中では貴重なレポートがありました。
それは、インホープという団体からです。これはインターネットのホットラインです。17カ国が加入しています。まだ国の数は少ないのですが、それでも昨年140万件の通報がありました。そのうち20%は違法サイトでした。そのうちの50%は、なんと子供たちに対する性的な搾取のサイトでした。その50%の20%は、3歳未満の子供たちに対する性的な虐待のサイトだったんです。このデータは、この問題の深刻化を物語っていると思います。
国際会議の中でよく指摘されるのは、日本の現在の法律は不十分であると、児童ポルノと対抗する意味では、法改正が必要とされます。
日本現在の法律だと、児童ポルノ制作・販売は禁止されているんですが、でも、自分で読んだり、自分で持ったりする、いわゆる単純所持は違法ではないんです。罰則もないんです。これは先進国の中ではまれです。
G8の中で、これをまだ許されているのは、日本とロシアだけです。ご覧の通りアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、それプラス、カナダ、いろんな先進国は実は、単純所持は違法です。罰則も付きます。
日本も動きがなかったわけではないんです。2004年も一度議論されました。そして、今年の6月、国会に改正案が出されたんです。残念ながら、見送られました。関係者はできれば、今回の秋の臨時国会に成立を目指したいと、努力していたんですが、でもブラジル会議に間に合うことはできず、国会の中には議論もされないまま、この国会はもう終わろうとしています。
私たちは、まだ単純所持について議論しているんですが、国際会議の中では新たな対策、そして課題がたくさん議論されました。
課題としては、ひとつは、アニメ、マンガ、そしてゲームで、子供たちの性的な搾取のバーチャルイメージが、たくさん増えているということです。そして、プロフサイトといって、自分から映像を載せるサイトなんですけど、子供たちが大人指示によって、自分の裸、他の子供の裸、性的に虐待されている映像を載せているということ。
もうひとつは、いろんな国によって、児童ポルノの定義が違うというのが問題化されました。そして子供たちの保護、そして発見の難しさも問題だと、みんなが合意しました。
その課題に対しての、対策がいろいろ出されました。行動計画です。
子供の権利に関する独立した機関の創設。これは、今年から5年以内にみんなで作りましょうと。性的搾取に関するデータベースの作成。これは被害を受けた子供たち、そして犯罪者のみなさんのデータベースを作って、各国共有するということです。
民間企業による取り組みの支援・促進。これはプロバイダーとか、携帯会社のブロッキングとかフィルタリングを指してます。そして、性的な搾取による被害者への支援。これは子供ですから、いろんな対策が必要だと思います。
そのなかで、さっきも言ってた課題の中で、児童ポルノの定義が国によって違う。だからはっきりと児童ポルノはどういうものなのかと。
ひとつ、児童ポルノの所持はもちろん違法。販売、製造も違法。それにプラスこれからは、アクセス、読んだり、あるいはそれを楽しんだりすることも、処罰対象となると。子供を性の対象として描かれたマンガやアニメも処罰対象となる。
そして、プロバイダーや携帯電話などの関係企業、ブロッキングやフィルタリングの導入。いずれこれは義務化を目指すと。
もし、世界の国がみんなこの対策を取り入れたら、状況はかなり良くなると思います。じゃあ日本は何をしなきゃいけないのか。まずはやっぱり単純所持を禁止することです。その法律を成立させることです。
そしてもうひとつは、児童ポルノの定義を見直すことです。バーチャルイメージは児童ポルノなのか、そうでないのか、国際的な流れとしては、それは児童ポルノであると、私たちはそれにあわすべきではないかと思います。
もうひとつは、官民の協力によってブロッキング、フィルタリングの対策を立てることです。私は決して日本は無関心ではないと思います。携帯会社、プロバイダーはすでにブロッキングについては、もう取り組み始めているんです。そして、主な日本の旅行会社は、子供の性的な搾取に関わっている団体とは仕事しない、そういうようなコードプロジェクトに参加しているんです。
ユニセフが、子供のポルノに反対する署名を呼びかけたら、あっという間に10万人以上の署名が集まりました。国民の関心が高いです。国際社会の中で、日本は経済的にも、政治的にも、とても力を持ってます。みんな日本のリーダーシップを求めているんです。私たちの対策が遅れていると、無責任だと指摘されてもしかたがありません。子供たちを守るために、これ以上被害者を出さないために、どうか立場、党派を超えて手を取り合って、子供たちにとってより安全な未来を、ぜひ作っていきましょう。
それを受けて、1999年「児童買春・児童ポルノ禁止法」が成立。そして2001年「第2回世界会議」は日本の横浜で行われました。これらの行動は外国で大変評価されました。2004年「児童買春・児童ポルノ禁止法」改正法の成立。2005年「子供の性的搾取に関する『子供の権利条約の選択議定書』」に批准。そして今回の会議に至るわけです。
残念ながら、グローバル化、インターネット、最新技術の普及によって、児童買春・児童ポルノ、そして人身売買、減るどころか問題は拡大化しています。にもかかわらず摘発すること、全体像を把握することの難しさに、各国、痛感しています。
でも、進展はあったんです。日本の中でも大きく報道されましたが、今回の国際会議の直前に、日本の中でイーミュールというソフト、これはコンピュータのソフトなんですけど、ファイルを交換できるソフトですね。それを通じて、大量の児童ポルノが、日本から流れ出しているという情報があったんです。それによって、日本人3人が逮捕されました。
それは、どうしてできたかというと、国際協力です。国際刑事警察機構、70カ国の警察の関係者が、一斉に取り締まりを行ったんです。それによって、日本から流れてくる児童ポルノの情報があって、それで逮捕とつながったわけです。
報道によると、日本人の3人の持ったファイル、昨年の12月から今年の10月まで、日本の中、そして外国で、全部で30万件超えるアクセスがあったそうです。
こういうようなデータはなかなか手に入らないのですが、今回の国際会議の中では貴重なレポートがありました。
それは、インホープという団体からです。これはインターネットのホットラインです。17カ国が加入しています。まだ国の数は少ないのですが、それでも昨年140万件の通報がありました。そのうち20%は違法サイトでした。そのうちの50%は、なんと子供たちに対する性的な搾取のサイトでした。その50%の20%は、3歳未満の子供たちに対する性的な虐待のサイトだったんです。このデータは、この問題の深刻化を物語っていると思います。
国際会議の中でよく指摘されるのは、日本の現在の法律は不十分であると、児童ポルノと対抗する意味では、法改正が必要とされます。
日本現在の法律だと、児童ポルノ制作・販売は禁止されているんですが、でも、自分で読んだり、自分で持ったりする、いわゆる単純所持は違法ではないんです。罰則もないんです。これは先進国の中ではまれです。
G8の中で、これをまだ許されているのは、日本とロシアだけです。ご覧の通りアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、それプラス、カナダ、いろんな先進国は実は、単純所持は違法です。罰則も付きます。
日本も動きがなかったわけではないんです。2004年も一度議論されました。そして、今年の6月、国会に改正案が出されたんです。残念ながら、見送られました。関係者はできれば、今回の秋の臨時国会に成立を目指したいと、努力していたんですが、でもブラジル会議に間に合うことはできず、国会の中には議論もされないまま、この国会はもう終わろうとしています。
私たちは、まだ単純所持について議論しているんですが、国際会議の中では新たな対策、そして課題がたくさん議論されました。
課題としては、ひとつは、アニメ、マンガ、そしてゲームで、子供たちの性的な搾取のバーチャルイメージが、たくさん増えているということです。そして、プロフサイトといって、自分から映像を載せるサイトなんですけど、子供たちが大人指示によって、自分の裸、他の子供の裸、性的に虐待されている映像を載せているということ。
もうひとつは、いろんな国によって、児童ポルノの定義が違うというのが問題化されました。そして子供たちの保護、そして発見の難しさも問題だと、みんなが合意しました。
その課題に対しての、対策がいろいろ出されました。行動計画です。
子供の権利に関する独立した機関の創設。これは、今年から5年以内にみんなで作りましょうと。性的搾取に関するデータベースの作成。これは被害を受けた子供たち、そして犯罪者のみなさんのデータベースを作って、各国共有するということです。
民間企業による取り組みの支援・促進。これはプロバイダーとか、携帯会社のブロッキングとかフィルタリングを指してます。そして、性的な搾取による被害者への支援。これは子供ですから、いろんな対策が必要だと思います。
そのなかで、さっきも言ってた課題の中で、児童ポルノの定義が国によって違う。だからはっきりと児童ポルノはどういうものなのかと。
ひとつ、児童ポルノの所持はもちろん違法。販売、製造も違法。それにプラスこれからは、アクセス、読んだり、あるいはそれを楽しんだりすることも、処罰対象となると。子供を性の対象として描かれたマンガやアニメも処罰対象となる。
そして、プロバイダーや携帯電話などの関係企業、ブロッキングやフィルタリングの導入。いずれこれは義務化を目指すと。
もし、世界の国がみんなこの対策を取り入れたら、状況はかなり良くなると思います。じゃあ日本は何をしなきゃいけないのか。まずはやっぱり単純所持を禁止することです。その法律を成立させることです。
そしてもうひとつは、児童ポルノの定義を見直すことです。バーチャルイメージは児童ポルノなのか、そうでないのか、国際的な流れとしては、それは児童ポルノであると、私たちはそれにあわすべきではないかと思います。
もうひとつは、官民の協力によってブロッキング、フィルタリングの対策を立てることです。私は決して日本は無関心ではないと思います。携帯会社、プロバイダーはすでにブロッキングについては、もう取り組み始めているんです。そして、主な日本の旅行会社は、子供の性的な搾取に関わっている団体とは仕事しない、そういうようなコードプロジェクトに参加しているんです。
ユニセフが、子供のポルノに反対する署名を呼びかけたら、あっという間に10万人以上の署名が集まりました。国民の関心が高いです。国際社会の中で、日本は経済的にも、政治的にも、とても力を持ってます。みんな日本のリーダーシップを求めているんです。私たちの対策が遅れていると、無責任だと指摘されてもしかたがありません。子供たちを守るために、これ以上被害者を出さないために、どうか立場、党派を超えて手を取り合って、子供たちにとってより安全な未来を、ぜひ作っていきましょう。
投稿者:管理人 | 投稿時間:23:18