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大学病院における周産期医療体制等の調査結果について

 文部科学省では、周産期医療体制等が大きな社会問題となっていることに鑑み、大学病院における現状について調査を行い、医学部を有する国公私立大学が設置する大学病院134病院(本院79病院、分院55病院。)のうち、周産期医療を行っている113病院(本院79病院、分院34病院。)の調査結果を公表します。

1 調査の目的

 周産期医療体制等が大きな社会問題となっていることに鑑み、大学病院における周産期医療体制等の現状について調査を行った。

2 調査の対象

 医学部を有する国公私立大学が設置する大学病院、134病院(本院79病院、分院55病院。)のうち、周産期医療を行っている113病院(本院79病院、分院34病院。以下、大学病院。)からの回答を集計した。

3 調査の時点

 平成20年11月1日の状況について調査を行った。ただし、病床稼働率については平成19年度の状況を、分娩件数については平成17年度から平成19年度までの3か年について調査を行った。

4 調査の概要

1.NICU等の状況について

 大学病院のうち、NICUを設置している大学病院は、79病院(全大学病院のうち、69.9パーセント)、MFICUを設置している大学病院は、29病院(全大学病院のうち、25.7パーセント)、GCUを設置している大学病院は、59病院(全大学病院のうち、52.2パーセント)である。
 各病床を設置している大学病院の1病院当たりの平均病床数は、NICUは、9.1床、MFICUは、7.6床、GCUは、13.4床であり、大学病院の全体数における1病院当たりの平均病床数では、NICUは、6.4床、MFICUは、1.9床、GCUは、7.0床となる。
 平成19年度の平均病床稼働率は、NICUは、93.3パーセント、MFICUは、81.8パーセント、GCUは、80.2パーセントであった。
 国公私立別(本院)の設置状況を見ると、NICUを設置している大学病院は、国立は33病院(全国立大学病院(本院)のうち、78.6パーセント)、公立は8病院(全ての公立大学病院(本院)に設置)、私立は27病院(全私立大学病院(本院)のうち、93.1パーセント)、MFICUを設置している大学病院は、国立は8病院(全国立大学病院(本院)のうち、19.0パーセント)、公立は3病院(全公立大学病院(本院)のうち、37.5パーセント)、私立は14病院(全私立大学病院(本院)のうち、48.3パーセント)、GCUを設置している大学病院は、国立は21病院(全国立大学病院(本院)のうち、50.0パーセント)、公立は5病院(全公立大学病院(本院)のうち、62.5パーセント)、私立は25病院(全私立大学病院(本院)のうち、86.2パーセント)であった。

  • (注1)NICU:新生児集中治療室、MFICU:母体・胎児集中治療管理室、GCU:継続保育室。
  • (注2)NICU及びMFICUについては、診療報酬上の加算がある病床数。

2.周産期医療に係る病床を設置・拡充する予定について

 調査時点において、周産期医療にかかる病床を新たに設置又は、拡充する予定がある大学病院は、45病院であり、全大学病院の39.8パーセントであった。
 また、国公私立別(本院)の状況を見ると、国立は19病院(全国立大学病院(本院)のうち、45.2パーセント)、公立は2病院(全公立大学病院(本院)のうち、25.0パーセント)、私立は17病院(全私立大学病院(本院)のうち、58.6パーセント)であった。
 なお、これらの大学病院においては、「産科医・新生児科医等の人材の確保が難しい」、「財政面で難しい」などの課題が挙げられた。

3.周産期母子医療センターの指定・認定状況について

 総合周産期母子医療センターの指定又は地域周産期母子医療センターの認定を受けている大学病院は、56病院であり、全大学病院の、49.6パーセントとなっている。この56病院のうち、28病院が総合周産期母子医療センターの指定を受け、28病院が地域周産期母子医療センターの認定を受けている。

4.分娩件数について

 大学病院における分娩件数は、平成17年度は、41,562件、18年度は、46,634件、19年度は、50,047件であり、年々増加傾向にあり、この3年間で、20.4パーセント増加している。また、リスクの高い分娩の件数については、この3年間で、24.1パーセント増加しており、帝王切開については、29.3パーセント増加している。

  • (注1)リスクの高い分娩の定義は、各大学病院の定義による。
  • (注2)帝王切開は、大学病院により、リスクの高い分娩に含む場合や、症例により通常分娩に区分している場合もある。

5.周産期医療に従事する医師数・看護職数の平均について

 周産期医療を実施する大学病院における周産期医療に従事する1病院当たりの医師の平均勤務者数は、小児科系11.0人、産婦人科系15.2人である。また、小児科系・産婦人科系あわせた看護職の平均人数は、59.6人である。

  • (注)本調査においては、周産期医療のみに限定した人数を特定できない場合は、大学病院における小児科系および産婦人科系全ての医師や看護職の人数を計上しているため、実際よりも多くなっている可能性がある。

6.診療時間内及び診療時間外における医師の勤務体制について

 大学病院における周産期医療に従事する医師の診療時間内及び診療時間外における1病院当たりの平均は、診療時間内は、小児科系6.6人、産婦人科系8.3人、診療時間外は、小児科系・産婦人科系あわせて、2.5人である。

  • (注)本調査においては、周産期医療のみに限定した人数を特定できない場合は、大学病院における小児科系および産婦人科系全ての医師や看護職の人数を計上しているため、実際よりも多くなっている可能性がある。

7.医療圏内における他の医療機関との役割分担について

 大学病院は、各都道府県の医療計画等により、「総合周産期母子医療センターの指定を受ける」、「地域の医療機関ごとに症例の特徴により機能分担を行い、大学病院は、重傷症例を担当する」等、地域の中核として機能している。また、各都道府県の実情等により、周産期母子医療センターの指定・認定を受けていない大学病院についても、他の医療機関と連携を図りながら、専門医を派遣する等、地域の周産期医療に貢献している。

8.周産期医療に対する主な意見等

  • 産科医、新生児科医、麻酔科医及び周産期医療に従事するスタッフ(助産師・看護師など)が不足している。
  • 低出生体重児の増加等に伴い、NICU病床が不足している。
  • 長期間NICUに入院している超重症児に対応できる後方施設の拡充が必要。
  • 地域の実情に応じた分娩施設の集約化・機能分化の明確化が必要である。
  • 総合周産期母子医療センターでは、通常分娩を扱わないなど役割分担が必要である。
  • 保育所設置、産休育休時等の際の人員調整など、女性医師支援が必要である。
  • 周産期医療に従事する医師、助産師、看護師等の人材養成教育システムに対する財政支援が必要である。
  • 周産期医療や教育環境整備のための施設・設備に対する財政支援が必要である。
  • 周産期医療に対する診療報酬上の適切な評価が必要である。

[お問い合わせ先]

高等教育局医学教育課大学病院支援室
室長 小林 万里子(内線2510)
専門職 中嶋 光穂(内線2071)
電話:03-5253-4111(代表)、03-6734-2578(直通)


(高等教育局医学教育課大学病院支援室)