日本綜合地所、内定取り消し学生に100万円“迷惑料”
雇用情勢の悪化が深刻化する中、内定の取り消しや派遣切りを巡って、9日、学生や派遣労働者たちが抗議の声をあげた。
先月17日、来春採用予定の大学生53人全員の内定の取り消しを通告した東証1部上場のマンション分譲大手「日本綜合地所」(東京都港区)。このうち都内の大学4年の男子学生(23)は同じ立場の2人とともに、個人で入ることができる労働組合に加入したうえで、9日、同社が用意した社外の貸会議室で総務部長らと団体交渉に臨んだ。
広さ8畳ほどの部屋でテーブルを挟んで向き合うと、総務部長は「迷惑をおかけしました」と頭を下げたが、10月の内定式で「不動産業界は不況だが、うちは大丈夫」と話していた社長の姿はない。「なぜ、社長が来て謝罪しないのか」。声を荒らげて詰め寄っても、総務部長は「交渉にあたるのは私たちですから」と理由をはっきり語らなかった。
会社側は、学生たちに提示していた1人42万円の「迷惑料」を今回、100万円に増額すると説明した。それでも「人生を狂わされた」という悔しさは募るばかり。「1年分の学費にもならない」という反論にも、会社側は「できる範囲のことはしている」「生活の面倒までは見ることができない」と語るだけだった。
男子学生は、他に6社からもらった内定を断っており、会社の指示で、自費で宅地建物取引主任者の資格取得の勉強も始めていた。内定取り消しの連絡を受けてから、来春の就職を目指し、インターネットを見て資料請求をしているが、面接までこぎ着けた会社はゼロ。男子学生は交渉後、「本当はこんなことをしている余裕はないけれども、泣き寝入りだけはしたくない」と悲しそうに話した。
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