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FujiSankei Business i.
2008/07/10 10:59
■抑止電波発信装置の導入検討
■総務省は難色「利便性確保が第一」
振り込め詐欺対策として千葉県警など一部の警察本部が金融機関に、ATM(現金自動預払機)コーナーで携帯電話を通話圏外にする抑止電波発信装置の導入を促す動きが出ている。導入には無線局の設置許可が必要だが、総務省は「利便性に障害となる」と難色を示している。また1台約100万円とされる装置の設置費用も課題で、実現までには難航が予想される。
警察庁によると「還付金がある」とだまし、携帯電話を持たせてATMに誘導、操作を指示して現金をだまし取る「還付金詐欺」が急増、今年の全国の被害額は30億円近くに上っている。
警察が目を付けたのが抑止電波で限られた範囲だけを通話圏外にする装置。千葉県警幹部は「振り込め詐欺を周知するポスターや声掛けだけでは限界がある。より実効性のある方法として活用できそうだ」と意気込む。
県警と歩調を合わせ、千葉銀行(千葉市)は昨年来、約250カ所ある店外無人ATMに装置の導入を検討している。
一方、総務省によると、病院やコンサート会場に設置許可を出したケースはあるが、ATMコーナーでは前例がない。担当者は電波法に基づき「利用者の利便性確保が第一。ATMの周囲に抑止電波が漏れ出すようだと許可は出せない」としている。
札幌コンサートホール(札幌市)、国立劇場(東京都)、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)などに納入実績を持つマクロスジャパン(東京)は「抑止電波の出力調整でATMコーナーだけに絞り、周辺の利用者に影響が出ないようにするのは十分に可能」と自信を見せる。
利用者からも「ATM近くで通話できなくても不都合は感じない。周知徹底されれば混乱も起きないだろう」(千葉市の会社員男性)と理解を示す声が聞かれる。
警察庁によると、今年1〜5月の全国の還付金詐欺発生件数は前年同期比4・6倍の2817件。静岡県の全金融機関はATMコーナーでの携帯電話使用の禁止を決めている。
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■かなり抑止できる
振り込め詐欺犯罪に詳しい村千鶴子・東京経済大教授(消費者法)の話「ATMと携帯電話の組み合わせを絶つという着想は面白い。実現すれば還付金詐欺などの手口をかなり抑止できるだろう。被害が急増する今、国民の間でしっかり議論しなければならない時期に来ているのではないか」
2008/06/10 20:50 [ 経営一般 ]
2008/06/09 19:38 [ セキュリティ ]