人口に占める65歳以上のお年寄りの割合を意味する高齢化率は寒河江市の場合、25・6%(07年10月)。県平均より若干低いが、高齢化は進んでいる。高齢者の支えとなる公立病院が果たす役割は大きい。
寒河江市立病院は内科、外科、リハビリテーション科など6診療科目、125床を持つ。だが経営は厳しい。02年度から07年度にかけ、入院患者数は15%、外来患者数も30%減った。医業収益も24億円から21億円に減り、05年度は2億2000万円だった赤字は07年度は3億7000万円に拡大した。赤字分は市からの繰り入れでやりくりしている。
病院事務局は経営悪化の理由について、01年度から、薬の長期投与が3カ月まで可能になり患者の来院間隔が広がり、診療回数が減ったことや、若い世代が山形市などの病院に通うようになったことと分析する。
病院は昨年度、経営改革プランをまとめ、今年度から実行に移した。それまで160床あった病床数を35床減らし、クレジットカードで支払いができるようにした。経営にはプラスにならないと判断し、回復期リハビリ病床導入を検討することを先送りした。
一方、高齢化率県内トップの35・0%の西川町や2位で34・4%の朝日町からも患者が訪れている。西川、朝日両町には町立病院があるものの、市立病院は西村山地区の基幹病院だ。
病院に象徴される広域的な問題の解決には合併も有効な手段と考えられる。しかし04年5月に、寒河江、西川、朝日1市2町の任意合併協議会が解散してから4年以上。新特例法の期限まで1年半を切ったが、合併論議は低調だ。
6日行われた立候補予定者2人の公開討論会では、2人とも、期限にこだわらず協議を進めることで意見に差がなかった。大江町と河北町を加えた1市4町は、消防、ごみ処理、特別養護老人ホームの運営などを既に広域組合で行っている。合併のメリットをいかした行政運営への助走は十分にみえるのだが。【佐藤薫】
毎日新聞 2008年12月10日 地方版