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【コラム】対日貿易赤字の真実(下)

 通貨危機以降、輸出が急速に伸びたが、粗鋼生産設備が不足しているため、地理的に近い日本から造船用の厚板や自動車用鋼板を大量輸入したことが対日貿易赤字拡大の真実に近い。実際に、現代自動車が使用する自動車用鋼板の50%以上が日本製だ。

 造船用厚板や自動車用鋼板は韓日両国で技術格差はほとんどなく、韓国の国内事情で生産設備に対する投資が不足しているだけだ。部品素材産業と言えば連想されがちな中小企業とはかけ離れた次元の問題だ。

 そういう事情にもかかわらず、李明博(イ・ミョンバク)大統領は年初来、貿易赤字問題で日本に圧力をかけている。昨年12月に次期大統領への就任が決まった段階で日本の駐韓大使と会い、貿易赤字問題の解決に協力を求めたのに続き、今年4月の訪日の際も当時の福田康夫首相との首脳会談でこの問題を取り上げた。また知識経済部、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)、全国経済人連合会など政府機関や民間団体も訪韓する日本の民間セクター幹部を捕まえ、日本の中小企業による対韓投資を訴えている。

 今回のセミナーはそんな韓国に対し、「まず何が問題かを正確に見据えて話そう」と反論するものだった。部品素材問題を取り上げるのは、反日感情を利用した李明博式のポピュリズムではないかという質問もあったという。

 部品素材分野で韓国の中小企業の技術力が日本に比べ大きく遅れており、それによって対日貿易赤字がなかなか減らないことも韓国の現実ではある。しかし、そうした問題は自らが解決すべき問題であって、日本のせいにして解決できる問題ではない。

 李大統領は金融危機の克服に向け、対日経済外交に積極的に乗り出している。そんな時であるからこそ、いい加減な現実認識ではなく、精巧で緻密(ちみつ)な論理で外交に臨んでもらいたい。

崔有植(チェ・ユシク)産業部次長待遇

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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