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【コラム】対日貿易赤字の真実(上)

 先ごろ東京にある日本政府の国策シンクタンク、経済産業研究所(RIETI)で韓国の対日貿易赤字問題を取り上げた小規模なセミナーが開かれた。日本貿易振興機構(JETRO)傘下のアジア経済研究所の関係者がプレゼンテーションを行い、この分野に詳しい日本人研究者、学者ら数人が質疑応答を行う形式で進められた。

 席上で特に注目されたのは、ここ数年にわたり韓国の貿易の問題点として言及されている部品素材分野の対日赤字に関するいくつかの常識は根拠を欠くという指摘だった。

 対日貿易赤字というと、しばしば高い技術力を持つ日本の中小企業が頭に浮かぶ。サムスン、LGなど韓国の大企業は半導体、携帯電話、液晶ディスプレーなどで世界に躍進しているが、重要部品と素材の相当部分は日本から輸入されているのではないかという俗説も広まっている。

 しかし、最近5-6年間で対日赤字が大幅に増えた最大の要因は、決して先端分野とはいえない鉄鋼製品だった。電子分野はむしろ赤字が縮小している。

 昨年の韓国の対日貿易赤字は299億ドルで、2000年の114億ドルに比べ185億ドルも増えた。この期間に鉄鋼を含む一次金属の貿易赤字は21億ドルから72億ドルへと51億ドルも増加した。これに対し、電子分野の貿易赤字は31億ドルから28億ドルへと小幅ながら減少した。

 鉄鋼分野の赤字急増は、2000年以降に造船、自動車分野で韓国の輸出が大きく伸びたことが直接的な要因だ。さらにさかのぼれば、財閥の経済独占を防ぐという理由で1980-90年代にポスコ以外の大企業が鉄鋼分野に進出することを徹底して阻んだことに遠因がある。

崔有植(チェ・ユシク)産業部次長待遇

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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