ソニーは9日、液晶テレビやデジタルカメラなどを扱うエレクトロニクス事業について、全世界で計1万6000人以上の従業員を09年度末までに削減すると発表した。世界的な景気悪化で、デジタル家電製品などの世界需要が急速に落ち込んでいることから、大規模なリストラが必要と判断した。
同時に、09年度の同事業の投資額を中期計画(08年度から3年間)より約3割削減する。中期計画での投資額は計1兆8000億円で、そのほとんどが同事業であることから、削減額は2000億円規模に上るとみられる。
具体的には、欧州向け液晶テレビの最大供給拠点であるスロバキアのニトラ工場での増産投資などを延期。また、09年度末までに、国内外の製造拠点計57カ所の約1割に当たる5~6カ所を閉鎖する。ビデオ用磁気テープなど記録メディアの生産拠点である仏ダックス工場など海外2カ所を含め、日本国内の工場も対象になる見通し。
人員削減の対象は、同事業の正規社員16万人(9月末)の5%に当たる約8000人と、派遣社員など「非正規雇用」従業員8000人以上。これらのリストラにより、09年度末までに、年間1000億円以上の費用を圧縮する。同事業はソニーの全売上高に占める割合が7割強、従業員数で約9割を占めており、関連部品メーカーや国内外の雇用情勢に大きな影響が出るのは必至だ。
ソニーは10月23日、09年3月期の連結営業利益見通しを前期比58%減に当たる2000億円へと大幅に下方修正した。【宇田川恵】
毎日新聞 2008年12月10日 東京朝刊