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【東京】

都議会代表質問 医学生奨学金拡充へ 内定取り消し 知事『社会の損失』

2008年12月10日

 都議会第四回定例会は九日、主要会派による代表質問が行われた。妊婦の受け入れ拒否が問題となった周産期医療について都側は、医師を確保するため、すでに創設した医学生奨学金貸与制度を拡充し、医学生が医師としての将来の進路を見定める五、六年生を対象とする新たな奨学金を検討していることを明らかにした。

 石原慎太郎知事は、周産期医療の問題について各党の質問に、「一刻も早く都民が安心できる体制を整備していく」と述べ、都立病院産科医の待遇改善による医師確保やNICU(新生児集中治療室)増床などを進める考えを示した。

 このほか代表質問では与野党とも、厳しい経済状況を受けて中小企業支援や雇用対策などの質問が相次いだ。

 窓口に診断士派遣

 中小企業支援や雇用対策で石原知事は、総額五百八億円の二次補正予算案で打ち出した政策を挙げ「都民とともにこの危機を克服する」と力説。都側は、国の緊急保証制度の申し込みが殺到して区市町村の受付窓口が混乱していることから、都の負担で三十二の自治体に中小企業診断士を派遣したことを明らかにした。

 非正規雇用者の解雇が相次いでいる問題で、石原知事は「安易に労働者にしわ寄せすることは好ましくない」と答弁。来春の新卒予定者の就職内定取り消しが社会問題化していることには「企業への信頼を失わせ、社会全体にも大きな損失」と苦言を呈した。

  経済効果に根拠

 二〇一六年夏季五輪招致をめぐって、立候補都市の一つ、シカゴがオバマ次期米大統領の地元であることで追い風となっているとされることについて、石原知事は「一国の大統領に惑わされず、国を挙げて招致活動にまい進することだ」と答弁した。

 二兆八千億円としている東京五輪開催の経済効果が「根拠がとぼしい」との指摘には、「産業連関表を用いるなど科学的に行っている」と反論した。

  認証保育で不正

 都が独自の設置基準を設ける認証保育所で、職員数の虚偽申請などの不正が発覚したことについて、石原知事は「都民の期待と信頼を裏切る行為で極めて遺憾」と表明。ただ、「一部の不正であり、制度の根幹が揺らぐものではない」とも述べ、認証審査の厳格化に言及した。

 質問者は三宅茂樹(自民)、大沢昇(民主)、藤井一(公明)、可知佳代子(共産)の四氏。

 

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