自民、公明両党は5日、今後3年間の追加雇用対策をまとめ、麻生太郎首相に提言した。各都道府県に基金(総額1500億円)を設け、失業した非正規労働者や中高年が社会復帰するまでの間、一時的な仕事に就けるようにする緊急雇用創出事業(仮称)を創設することなどが柱。雇用保険の積立金と一般財源から1兆円ずつ計2兆円を支出し、140万人規模の雇用を下支えする。来週にも政府・与党方針として正式決定する。
政府の追加経済対策では、60万人の雇用を支える方針を掲げたが、11月以降、期間従業員や派遣社員の契約を更新しない動きが急速に広がっている。このため失業率が過去最悪(5.5%)を超える6%まで悪化することも想定し、140万人規模の雇用を支える対策へと拡大した。一般財源からの1兆円は、主に緊急雇用創出事業に投入する。基金用にまず1500億円を2次補正で支出し、利用状況に応じてその後も必要な積み増しをする。
その他の主な対策は、派遣社員を派遣先企業が直接雇用した場合、正社員としての雇用なら1人当たり最大100万円、有期雇用なら同50万円を支給(大企業は半額)▽悪質な採用内定取り消し企業名の公表▽非正規労働者の雇用保険の加入条件を「1年以上の雇用の見込みがある場合」から「6カ月以上」に緩和するなどの同保険の拡大▽社員寮から出る失業者に対する雇用促進住宅の提供−−など。厚生労働省は雇用保険法の改正案を来年の通常国会に提出する。【堀井恵里子】
◇与党の雇用対策
・140万人の雇用下支えに3年で2兆円
・派遣社員の正社員採用に1人あたり最大100万円(大企業は半額)支給
・失業した非正規労働者や中高年のつなぎ雇用創出へ都道府県に基金(総額1500億円)を創設
・雇用保険の拡大(非正規労働者の加入条件は「6カ月以上の雇用の見込み」に緩和など)
・悪質な内定取り消しは企業名公表
・雇用調整助成金の対象に雇用期間6カ月未満の非正規労働者、新卒者も加える
・社員寮を出た失業者に敷金・礼金貸与、雇用促進住宅の提供
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