自民、公明両党は3日、追加の雇用対策として、3年間で100万人の雇用を支えるため、雇用保険の積立金から約1兆円を投入する方針を固めた。これとは別に住宅、自動車、医療・介護など4分野を中心に80万人規模の新規の雇用を創出する方向で調整している。雇用情勢の悪化に伴い、今後も企業の採用内定取り消しが続出する可能性があるため、悪質な内定取り消しをした企業は、社名公表に踏み切る。
対策は、非正規雇用がもっぱら対象となる雇用のセーフティーネット強化と、雇用創出の2本柱。セーフティーネットでは、非正規労働者に雇用保険が適用できる条件を「1年以上の雇用見込み」から「6カ月以上」などに短縮する。
現在は、雇い止めされても離職前の2年間で雇用保険に12カ月以上加入していないと失業手当が受けられない。これを「1年間で6カ月以上」などに短縮。派遣社員を正社員などに採用した企業には、1人当たり最大100万円を支給する。
雇用を維持する目的で従業員に休業や出向を命じた企業に賃金を助成する雇用調整助成金は、非正規雇用者や新卒者も対象とする。ふるさと雇用再生特別交付金も拡充する。
内定取り消し対策では、社名公表のほか、内定を取り消された新卒者の採用企業に奨励金を出す制度を新設。寮に入居していた派遣社員らが失業した際の住宅確保策として、賃貸費用の一部を助成するほか、雇用促進住宅の活用も検討する。
雇用創出策は、介護資格を短期間で取る訓練制度を大幅に拡充する。住宅ローン減税などの実施で着工数が増えることで29万人、公共事業の拡充で13万人の雇用増を見込む。【堀井恵里子】
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