「仕組み」の経済学―23
ダブルKYだと言われる麻生首相だが、実は「景気(経済危機といってもよいが)も読めない」トリプルKYなのだろう。
麻生氏を弁護すれば、空気が読めない政治家は、読む能力が抜群だった小泉氏を除き、近年すべての首相に言えよう。英語には自信があるので、漢字は読めなくても知的レベルでは見劣りはしないと思っているのだろう。(野党の党首も同じだが)元々首相の条件が、知力や品格、理念、気概、志といった精神面ではなく、選挙の顔という風俗的なものになるほど、政治の劣化が著しい。更に、景気が読める首相がいれば、この国の経済がここまで衰退することもなかった。麻生氏のみ揶揄(やゆ)されるのは公平ではないだろう。
だが、世界不況の波に日本も襲われる中で、景気が読めない首相を頂く余裕はもはやない。第2次補正予算案の先送りが問題なのではない。どの対策も、経済への即効性はもちろん、プラシーボ(偽薬)としての効果も疑わしいからである。
経済活性化のために麻生氏がすべきことは難しくない。麻生氏が「解散」と言えば株価は上昇しよう。市場も国民もチェンジを求めているからだ。与党の大合唱に乗って、改革の原則維持と言いながら例外に走る非効率な業界へのバラマキ政策はやめるべきである。むしろ行政改革を加速すると言えば、人気も回復する。
制度設計の相次ぐ失敗から、この国の財政は破綻(はたん)に向かい、年金・医療・介護・食の安全を含め社会の崩壊も進んでいる。地方整備局と地方農政局の廃止や、消費者庁創設、天下り廃止等々、国民が期待し、経済も活性化するテーマには全く困らない。(四知)