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パキスタン:カーン博士、核開発部品を日本で調達 77、84年「複数の企業訪問」も

 【イスラマバード共同】パキスタンの「核開発の父」と呼ばれる科学者カーン博士は8日までに「1984年に日本を訪れ、いくつか重要な部品を注文した」と共同通信に対して証言、核製造に必要な部品を日本企業から入手していたことを明らかにした。77年にも訪日し、核兵器原料の高濃縮ウランを製造する濃縮施設向けの電力供給装置を購入したとも語った。

 博士が日本で核開発用の部品や設備を調達していたことが判明したのは初めて。パキスタンは85年までに高濃縮ウランなどの製造に成功、核実験ができる状態になったとされる。博士は「重要な部品」が具体的に何かは明かさなかった。

 証言によると、博士は77年の訪日時に、過去に米国や欧州の企業から販売を断られた「無停電電源装置(UPS)」を日本企業から調達。停電時に8メガワットの出力を誇るUPSは、切れ目なく一定の電力供給を受ける必要がある濃縮施設向けだった。

 博士はこの企業から、原子力施設で稼働中のUPSの見学にも誘われたと指摘し「(企業側はパキスタンが)核開発に使うことに気付いていたと思う」と語った。

 84年には「複数の(日本の)大企業」を訪問し、核開発に必要な部品を入手。うち1社の担当者は、第二次大戦中にドイツに駐在していた元海軍武官で、ドイツ語を流ちょうに話したという。

 パキスタンはカシミール地方の領有を争う隣国インドとの緊張関係を背景に、72年に核開発に着手。インドが24年ぶりの核実験を行った98年5月、パキスタンも初の核実験に成功した。

 国際原子力機関(IAEA)の調査によると、博士が構築したとされる「核の闇市場」には日本を含む約30カ国の企業や個人が関与した。

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 ■ことば

 ◇カーン博士と核の闇市場

 カーン博士は欧州企業での勤務時に入手した技術などを元に、母国パキスタンのウラン濃縮計画を指揮、98年5月の核実験を実現させた。地元では「核開発の父」として英雄視されている。核関連機材・技術を取得する過程で、秘密裏に「核の闇市場」を構築。このネットワークを通じ、北朝鮮やイラン、リビアに供与を行ったと04年2月に告白したが、後に否定している。

毎日新聞 2008年12月8日 東京夕刊

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