いすゞ自動車の派遣社員らが大量に解雇を通告された問題です。「金融危機による減産」が解雇の理由ですが、藤沢工場の期間従業員3人が、「違法解雇の撤回」などを求める仮処分を、横浜地裁に申し立てました。
いすゞ自動車・藤沢工場で働く派遣社員(32)。正社員に混じり、朝から夕方まで立ちっぱなしで部品を作ります。時給は1100円。寮費などを引くと、手元に残るのは1月およそ12、3万円です。寮に同じ派遣社員の2人と暮らします。
「(自分の部屋に)鍵、最近ついたんですよ」(藤沢工場で働く派遣社員)
派遣契約は、来年3月末までのはずでした。しかし先月17日、突然、今月26日付での解雇を通告されました。寮も、1月5日までに出なければなりません。
「派遣会社に、こういう状態だけど何か保障はないのか尋ねたら、“30日前に解雇通告しているから、それが保障だ”と言われた」(藤沢工場で働く派遣社員)
いつもぎりぎりで生活してきたため、貯金はほとんどありません。仕事を探したくても、休むとその分収入が減るため、ぎりぎりまで就職活動もできません。
「日ごとにイライラしてくる。自分の気持ちもすさんでくるような感じ」(藤沢工場で働く派遣社員)
いすゞ自動車は先月、藤沢工場と栃木工場の派遣社員と期間従業員およそ1400人に、12月下旬付けでの解雇を通告しました。
それに対し9日、「契約期間内の解雇は不当」として、いすゞ自動車・藤沢工場の期間従業員3人が「解雇予告の効力停止」と「賃金の仮払い」などを求める仮処分を横浜地裁に申し立てました。
また、今月末での解雇を通告された藤沢工場の派遣労働者ら20人が労働組合に加入。契約解除の撤回や寮の継続使用などを求め、いすゞ自動車に団体交渉を申し入れました。
藤沢工場の派遣労働者、山本秀男さん(35)は、3年間、正社員と同じ仕事を続けてきました。ところが先月、12月26日付での解雇を通告されました。
「削減とか、ニュースとかでちょっと見て、こっちもあれかなと。まさかとは思ってたんですけど」(山本秀男さん)
両親はすでに他界していて、頼れる人はいないといいます。
「わかんないですよね。誰を、どこを恨んでいいか。国なのか会社なのか、それすらもわからないですよ」(山本秀男さん)
(09日23:06)