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物理の人材は医療分野に必要

 「物理学とがんの放射線治療」をテーマにした講演会が12月9日、東大の鉄門記念講堂で開催された。冒頭、あいさつした東大医学部附属病院放射線科の中川恵一准教授は、「がんの放射線治療は物理学の知識、サポートが必要」と指摘。その上で、日本では物理系の人材が医学の現場で活躍する環境がないとして、「双方がある意味、損をしている」と述べた。

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 講演会では初めに、国立がんセンター東病院臨床開発センターの西尾禎治室長が「医学物理の魅力」をテーマに講演。
 「がん患者の治療のため、という明確な目標を持つことができる」「医療人としての自覚と責任感を持つことができる」「医療の現場はさまざまな人とのコミュニケーションがあり、その協力体制の下で、研究面だけでなく人格形成においても幅広い視野を養える」「幅広く研究テーマが存在する」「国内では確立されていない分野なので、努力次第では若い人でもパイオニアになれる」などと語った。

 中川氏は「放射線治療医として物理サイドに期待すること」をテーマに講演。放射線治療を支える物理分野の人材について触れ、「APM(米国医療物理学会)の会員数が5000人なのに対し、日本では実質的に50人程度だと思う」と指摘した上で、「わたしたちは物理を修めた人たちがこの分野に入ってくることを望んでいる」と強調した。

 講演会後のディスカッションでは、会場から「物理を勉強しなくても、放射線技師のように専門の訓練を受けた人で十分なのでは」などの質問が出た。これに対し、西尾氏は医学物理を日本で発展させる必要性を強調。自分たちで育てていかなくてはいけない学問で重要なのは「知恵」とした上で、「知恵は、研究をやって自分でじっくり考えて、何か物事を一つ一つクリアにしていく過程で身に付けていかなくてはいけないもの。今のところ、理工系の学部にはそうしたものが根付いているので、今後この分野を発展させるにはまず必要だと思う」と述べた。

 講演会では、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏も「放射線と物理」をテーマに講演。ディスカッションでは、「まだまだ新しい放射線の使い方があると思う。もっと視野を変えて、どういうふうに放射線を使ったら役に立つかということを若い人たちが本気で考えれば、素晴らしい新しい展開が広がるのではないかと期待している」と語った。


更新:2008/12/09 19:12   キャリアブレイン

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