手術時にガーゼや針などを体内に置き忘れる事故の報告が04年10月~今年9月までの4年間に124件に上ることが9日、財団法人・日本医療機能評価機構のまとめで分かった。ガーゼの置き忘れに20年間気付かず健康被害が起きたケースもあり、同機構は医療機関に対し、器具の数の確認や鋼線が入ったガーゼの使用、手術後のエックス線撮影などの対策を紹介して再発防止を求めている。
約550病院から寄せられた事故報告を機構が分析したところ、置き忘れは▽ガーゼ68件▽縫合針12件▽綿10件▽鉗子(かんし)(はさみ状の器具)7件▽メス1件--など。ミスに気付いたのは、手術室を出てから退院までが半数の62件で、退院後の発覚も35件あった。エックス線やCT検査で見つかったケースが約6割を占める。
健康被害の例としては、足の手術から20年間来院しなかった患者が痛みと腫れを訴え、患部を切開したところ、ガーゼが4枚残り、周辺の組織がつぶれていた。また胃がんの手術の1年後に腰痛になり、骨盤のエックス線撮影で腹の中から針1本が見つかったケースもあった。【清水健二】
毎日新聞 2008年12月9日 20時00分