千葉県東金市の保育園児、成田幸満(ゆきまろ)ちゃん(5)が遺体で見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された勝木諒(りょう)容疑者(21)が、事件後にパート先の元同僚に頻繁にメールを送っていたことが8日、分かった。勝木容疑者は約3週間、無断欠勤を続け事件前日付で退職しているが、この間のメールはほとんどなかった。東金署捜査本部は事件を境に元同僚らに連絡を取り始めた心境の変化を重視。退職が事件に影響を与えた可能性もあるとみて、関係者から事情を聴く。
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≪8月から無断欠勤≫
調べや関係者によると、勝木容疑者は高校卒業後の平成17年4月から、山武市の布団製造工場でパート勤務として採用された。朝の8時半から夕方の5時まで、レンタル布団の運搬や洗濯などの業務をこなしていたという。
「好きな演歌をすすんで入れて、歌っていた」(工場長)。人見知りする性格で工場では1人でいることが多かったが、同僚らにカラオケに誘われると、嫌がらずについてきた。
昨年からは、同僚の女性(51)と親しく話す間柄になった。だが、約3年半が経過した今年8月ごろから、状況に変化がみられるようになった。
この女性は「仕事の愚痴が増え、『ついていけない。辞めたい』と口にするようになった。『また言っている』と真剣に受け止めず、受け流していたんですが…」と振り返る。
8月28日には、とうとう勝木容疑者は会社に来なくなった。
「会社に来なさい」
無断欠勤が続いた後、女性は勝木容疑者にメールを送った。だが、「行かない」と短い返事しかこなかった。
勝木容疑者は職場の送迎バスに乗り込むことも3度ほどあったが、会社の前で「おなかが痛い」などと理由をつけ、結局、門をくぐることはなかった。
9月20日付で退職が決定し、事件は翌日の21日に起きた。
≪退職が犯行影響?≫
勝木容疑者は事件の日を境に、これまでとうって変わって、頻繁に女性にメールを送信するようになる。
その内容は「お元気ですか」と近況を伺うもののほか、「会いたいですね」というものもあった。
そして嫌がっていた工場にも10月2日に顔を見せ、事務所で、ようやく退職届を書いた。工場長は「(これまでなかった)無精ひげを蓄え、威圧感があった」と異変を感じたという。
「ご飯を食べに行くときは誘ってね。みんなに会いに行くから」
勝木容疑者は11月10日には、こんなメールも女性に送っていた。女性は2、3日後の同僚らとの昼食の際に誘ったという。
「合流したい」
勝木容疑者はすぐに返事し、食事の際には、退職後の様子や家族の話などを冗舌に語っていた。
26日には女性にこんなメールも届いた。
「メル友みたいな仲のよい彼女ができました」
最後のコンタクトは逮捕前夜の12月5日午後9時5分。携帯電話に着信履歴が残っていたが、女性は電話に出られなかった。
だが、事件を境に連絡を取り始めたことについて、捜査本部は勝木容疑者の動揺の表れが強いとみており、事件直前の退職が犯行に何らかの影響を及ぼした可能性もあるとみて、事件前の行動について詳しく調べる。
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