世界景気の悪化で新車の需要が急速に落ち込んでいることから、国内自動車メーカー主要12社が08年度中に国内外で計189万台を減産し、国内の非正規従業員(期間従業員と派遣社員)を計1万4000人規模で削減する見通しとなった。多くの雇用を確保してきた自動車産業の低迷は、国内景気に暗い影を落としつつある。【宮島寛、森有正】
三菱自動車は27日、国内外で今年度3万台の追加減産を行うと発表。約3300人いる非正規従業員のうち、約1100人を年末までに削減する方針も示した。富士重工業も同日、国内で4万台の追加減産を発表し、約1800人いる非正規従業員のうち約800人を年内に削減する。
トヨタ自動車は、今年度の世界生産計画を当初計画比95万3000台減の792万台に下方修正し、6月末から直営工場で働く期間従業員の新規採用や契約更新を停止している。4月に約9000人いた期間従業員は、来年3月末時点で約3000人に減る見通し。日産自動車も国内外で27万2000台以上を減産する方針で、国内直営工場の派遣社員約2000人について、12月末までに約1500人削減し、約500人にする。
自動車各社は国内では主に燃費効率の良い小型車を生産しており、小型車人気で好調な輸出に支えられ、高い稼働率を維持していた。しかし9月に金融危機が深刻化。世界各地の市場で自動車ローンの審査が厳しくなるなどして小型車の売れ行きまで落ちた。
乗用車主要8社が27日発表した10月の生産・販売・輸出実績でも、国内生産はトヨタが前年同月比17%減に落ち込むなど3社が前年割れとなった。プラスを維持したホンダなども「11月以降は国内工場で減産を始めるため、前年割れしそう」。各社はさらなる人員削減の可能性についても、「今後の販売動向を見る」(日産)などとし、人員削減幅が広がる可能性もある。
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◆国内主要自動車会社の減産と従業員削減数◆
国内外の減産台数 国内の人員削減数
トヨタ 95万3000台 期間従業員6000人
日産 27万2000台以上 派遣社員1500人
ホンダ 14万1000台 期間従業員270人
スズキ 24万6000台 派遣社員600人
マツダ 4万8000台 派遣社員1300人
三菱自 11万台以上 派遣社員と期間従業員
計で1100人以上
ダイハツ 3万台 非公表
富士重 6万台 派遣社員と期間従業員
計で800人
いすゞ 2万8000台 派遣社員と期間従業員
計で1400人
日野自 6400台 期間従業員約500人
日産デ 非公表 派遣社員200人
三菱ふそう 非公表 派遣社員と期間従業員
計で500人
毎日新聞 2008年11月28日 東京朝刊