福岡市は、こども病院・感染症センター(中央区)と市民病院(博多区)の市立2病院の今後の経営方針を定めた「市立病院経営改革プラン」の案をまとめた。2009年度から11年度までの3年間で、医薬品購入費や業務委託費の削減、治療費回収対策強化などに取り組み、赤字額(医業ベース)を07年度比で4億2410万円減らす目標を設定している。
プランは、全国の自治体病院の赤字経営体質が問題視されていることを踏まえ、総務省が関係自治体に本年度中の策定を要求。福岡市は2病院を市直営から切り離し、非公務員型の法人が経営を担う「地方独立行政法人化」の2010年度導入方針を既に打ち出しており、プランでも経営改革の柱としている。
プラン案で市は、医療機器購入の元利償還額や市からの繰入額を含む病院事業全体の収支ではなく、入院費や診療費、診断書作成費などの「医業収益」から、職員給与などの「医業費用」を差し引いた赤字額を提示。
07年度の赤字額は7億540万円だが、11年度には2億8130万円に縮減すると目標設定した。市によると、厚生労働省の看護師配置基準に沿うように看護師を増員することで、収入となる診療報酬の大幅増が見込めるという。
市はプラン実施で4億7300万円の効果が生まれると試算。経営改革策として、ほかに▽人件費の適正化▽低価のジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用拡大▽看護職の副院長登用‐などを挙げている。治療費未払い患者への対策強化策として、入金案内業務を債権回収会社に委託することも検討している。
病院別の取り組みでは、人工島(東区)に移転整備するこども病院について、2013年度開院に向けたスタッフの計画的採用と、PFI(民間資金活用による社会資本整備)での新こども病院整備により、整備費削減を盛り込んだ。市民病院は脳卒中センターの充実と循環器系疾患の対応強化を図るとしている。
市は来年3月までに、病院事業全体の収支見通しを策定し、より詳細な計画に固める方針。
=2008/12/09付 西日本新聞朝刊=