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2008年12月9日

 旧日本海軍の空母「加賀」が1930(昭和5)年に金沢沖に来たのを見た人が健在だったと本紙で知って驚いた

もう80年近くも前のこと、世界恐慌のころの話であり貴重な証言だ。いま100年に1度という金融危機にある。100年単位で歴史を学ぶ大切さに気づいたといってもいい

旧海軍の戦艦の名は旧国名から付けられた。「大和」や「武蔵」などである。一方の空母は、飛行する縁起のいい動物名「翔鶴」や「飛竜」が当てられた。では、旧国名の「加賀」がなぜ空母なのか

1920(大正9)年に戦艦として建造が始まった「加賀」は、翌年のワシントン軍縮会議で主力艦数が制限されて廃艦寸前になった。そこへ関東大震災が発生。ほかの軍艦が大破したので身代わりとして空母になり、よみがえったのである

金沢に寄港したときに乗組員らが白山比盗_社に参拝した写真が「ふるさと写真館」(本社刊)にある。郷土の歴史から20世紀の軍縮とその後の不況から戦争に続く道が学べるのである。一地方の小さな出来事も世界の過去と今をつなぐ歴史の糸になる。あらためて感心する。


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