鳥取県は二〇〇七年度の市町村公営企業決算をまとめた。上水道、病院など公営企業法適用二十四事業のうち、赤字は七市町の計十事業で、累積欠損金は計百七億五千万円。〇九年度から財政健全化法に基づき、市町村財政は各会計を連結決算型で示す指標で判断され、基準値を超える自治体は、不良債務処理など抜本的な「体質改善」を迫られる。
病院事業では、鳥取市の市立病院は医師不足に伴う患者数の減少などで総収益が減り、前年度比で六千万円ほど赤字が拡大。南部町の西伯病院も入院・外来患者の減少のほか、薬剤購入費の増加で赤字幅は拡大し、企業会計への繰入金は二億一千三百万円に上った。智頭町の智頭病院の赤字額は四億二千万円となっている。
一方、岩美町の岩美病院は小児科診療の再開が収益増につながって赤字幅は縮まり、日野町の日野病院組合は特別交付税が増加したこともあって最終的に約二千百万円の黒字になった。
上水道は十二事業中、鳥取、岩美、大山、南部、伯耆の五市町が赤字。事業の借金(地方債残高)を見ると鳥取市が百七十五億六千万円で最大だった。
公営企業法適用二十四事業の繰入金総額は前年度比九億七千八百万円増の四十二億二千万円。下水道など同法適用外の百四事業のうち赤字は九事業だが、繰入金は百五十八億三千五百万円。法適用と適用外を合わせた事業の借金総額は三千六百八十六億円で、各市町村の一般会計を圧迫する要因にもなっている。
来年度からは財政健全化法が示す基準値をオーバーすれば、自治体は▽早期健全化▽財政再生▽経営健全化−の段階に応じて各計画の策定を国から義務付けられる。県自治振興課は「公営企業も社会状況に応じた経営が必要。住民と情報を共有して事業の在り方を考えてほしい」としている。