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【主張】女児遺体事件 地域全体で子供の命守れ
千葉県東金市で保育園児が遺体で見つかった事件は、発生から2カ月半で解決に向けて大きく動き出した。
死体遺棄容疑で逮捕された21歳の男は、被害者のすぐ近くに住んでいた。それだけに地域の防犯体制のあり方に多くの問題点を突きつける結果となった。
それにしても、このところ幼児が犠牲になる事件が後を絶たない。毎年のように、同様の事件が起き、その都度、防犯対策が喫緊の課題となる。
平成16年に奈良市で下校途中の小1女児が新聞配達員に誘拐・殺害された事件や翌年、広島市でやはり下校途中の小1女児がペルー国籍の男に絞殺されて、捨てられるという残忍な事件が相次いだ。いずれも性犯罪目的だった。
両事件の容疑者とも、過去に性犯罪の前歴があったことから、警察庁は子供を対象にした性犯罪の前歴者については、法務省とその出所情報を共有し、性犯罪防止に努める制度を発足させた。
ところが、東金市の事件の容疑者は過去に犯罪歴などなく、死体遺棄容疑については、大筋で認めているものの、女児が死亡するまでの経過や背景などについては、供述しておらず、事件の動機などは不明である。
今回の容疑者は、事件発生直後から、警察が不審者の一人としてマークしていた人物だ。捜査中にも女性の後をつけたりするなどの行動をとっていたという。
また、警察には、事件前に現場周辺で不審な行動をとっていたという情報が寄せられていた。なぜ、事前に防止できなかったのか残念でならない。
治安は不況になると悪化することは、統計上からも裏付けられている。バブル崩壊後、犯罪が激増し、一時は戦後最悪となった。米国発の経済危機が日本の実体経済にも悪影響を及ぼしており、再び治安の悪化が懸念される。
欧米では地域にもよるが、幼児を1人では公園などで遊ばせない。常に両親が子供の行動に目を配っている。
かつて日本は、「世界一安全な国」といわれてきた。しかし、急激な都市化などから、地域住民の連帯感は希薄になり、関心もなくなってきている。
子供の安全をどう守り、安心で住みやすい街を築くのか。警察、学校、地域が一体になって協力して犯罪を防ぐことが肝要だ。