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近鉄百、阿倍野本店14年増床、近畿南部死守へ「本丸」巨大化。
2008/11/28 日経MJ(流通新聞)
売り場面積、国内最大10万平方メートル
競合の改装に2―4年遅れ 完成前に客流出懸念も
 近鉄百貨店が生き残りをかけ、攻めの体制作りに乗り出した。旗艦店・阿倍野本店(大阪市)について二〇一四年の増床オープンに動き始めたほか、外商の強化に着手した。二〇一一年の大阪百貨店の大競争に対応するためで、生命線となる近畿南部の顧客基盤を固めるのが狙い。この大型投資が失敗すると、近鉄百にとって致命傷になりかねず、再編の呼び水になる可能性もある。
 梅田では阪急百貨店、大丸が増床、三越伊勢丹も出店する。一二年には梅田地区の百貨店面積は現在の一・五倍の約二十六万三千平方メートルに拡大する見通し。難波でも高島屋大阪店が増床する。史上空前の拡張競争は百貨店業界の勢力図にも大きく影響する。
 大阪南部、奈良、和歌山などを地盤とする近鉄百といえども、そのシェア争いにいや応なく巻き込まれる。そのカギを握るのは近鉄百貨店阿倍野本店。近畿日本鉄道が建設する日本で最も高い地上三百メートル、地上六十階建ての超高層複合ビルの一部フロアに入居する形で、既存部分(約四万八千平方メートル)と合わせて、一四年までに日本最大級となる十万平方メートルの売り場となる。陳列器具や内装費用など三百億円を投じる計画だ。
 新店準備を統括する飯田圭児専務は「百貨店と専門店モールを組み合わせるなど、新たな複合商業施設にする。サービスとモノを結合するスペースも作る」と強調する。本店に加え、隣接する商業ビル「Hoop(フープ)」に加え、九月にオープンした商業施設「アンド」と合わせれば、売り場面積は約十二万八千平方メートル。阪急百貨店梅田本店を軸とした梅田や難波に匹敵する巨大商業施設として存在感を示す。
 近畿南部の顧客が梅田や難波に流出しないように、阿倍野一帯で買い物やサービスを提供する機能を充足するのが狙いだ。例えば、アンドには「ロフト」などに加え、絵画や音楽などの関西最大の文化サロンを設置。さらに隣接地のフープで、これまで手薄だった若者のアップにつなげる。
 固定客作りも急ぐ。「顧客の囲い込みを狙う」(尾原謙治・新店準備本部副本部長)。外商員を二、三年後に現在より二割多い五百人まで増員する。外商顧客向けの店外催事の頻度を上げるなど、競合する百貨店に既存顧客を奪われない戦略に力を注ぐ。
 近鉄グループの能力を結集した商業活性化策だが、不安材料もある。新店の完成は最も近隣にある難波の高島屋の増床オープンから遅れること四年。一二年までには大丸、阪急の増床、三越伊勢丹も進出している。計画規模は大きいとはいえ、増床で先行するライバルが顧客を奪うリスクはぬぐいきれない。
 東京に本拠を置く他のメガ百貨店に対してファッションなど先端商品の品ぞろえで競えるかどうかも不安材料の一つ。百貨店の売れ筋は販売力のある店舗に集中するためで、近鉄グループのネットワークだけでは限界もある。
 大阪地区の百貨店売上高は七カ月連続のマイナスが続くなど不振を極めるなか、百貨店業界は生き残り戦略を規模の拡大に求めて急速に動いている。「うちは単独でやっていく」(近鉄百幹部)と言うが、再編と距離を置く姿勢が貫けるかどうか。ライバルとの間に立ちはだかる時間と地理の壁を乗り越えようという知恵にかかっている。(飛田雅則)
【図・写真】超高層複合ビルの一部にも入居、既存部分と合わせ10万平方メートルの売り場となる(大阪市の近鉄百貨店阿倍野本店)
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