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【コラム】中国支配論、日本支配論(下)

 これまで、韓国側の最悪のシナリオも、「韓国は支配されてしまうかもしれない」というほぼ同じ結末になっていた。ただし、支配するのは中国ではなく、日本だという点が、日本側のシナリオとは違う。日本が先日、自ら進んで10兆円を国際通貨基金(IMF)に支援すると表明したことについて、ネット上の討論サイトで有名な「ミネルバ」と名乗る論客が「最も懸念される時期」と指摘、韓国が年末あるいは来年3月に経済危機を迎え、日本の資本に編入され破たんするかもしれないと主張した後のことだった。

 韓国の「日本支配論」は、日本の「中国支配論」と内容は正反対だが、結論の壮大さに比べ、論理的な当為性が大幅に不足しているという点でそっくりだ。推測と飛躍で両国国民の敵対心・警戒意識・被害妄想を刺激している点でも似ている。海外資本の支援を支配・被支配関係と「一緒くた」にした大時代な発想であることも同じだ。

 しかし、日本の胸の内をのぞかせる中国支配論には、国益という観点から韓国が活用すべきポイントがある。根拠のない中国支配論が、韓国支援論に結びついているのは、櫻井氏の主張通りだ。(日本による植民地支配)解放後の歴史問題で韓国を侮辱してきた日本の保守派が、韓国の危機に白馬の騎士的な役割を自任しているのも、大陸を警戒しなければならないという共感があるからだ。その上、妄言の主であれ、極右派であれ、韓国支援のカギを握る麻生太郎首相と中川昭一財務相が、こうした思考を共有する日本の保守グループであるということも無視できない。

 日本と中国の間でうまく立ち回れば、韓国は今後さらに多くの国益を引き出すことができる。一方、韓国が自ら増幅させている日本支配論は、ひたすら韓国人の空虚な被害者意識に依存していることから、わたしたちには何の利益ももたらさないだろう。

東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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