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【コラム】中国支配論、日本支配論(上)

 日本の複数の知人から電話をもらったのは10月6日のことだった。「李明博(イ・ミョンバク)大統領が韓中日金融首脳会談を希望している」というニュースがロイター通信で報じられた直後だった。彼らから質問されたことをまとめると、「韓国はそんなに切羽詰まっているのか?」ということだった。周知の通り、この提案は相手国との調整もないまま明らかにされたものだ。

 韓国専門家の知人らは、当時の韓国をめぐる最悪のシナリオをよく知っていた。既にインターネット上で、韓国は自国の暗い見通しをすべて明らかにしていた時期なので、日本が韓国の先行きを明るいとみているはずもなかった。知人らが教えてくれた日本側の最悪のシナリオの論理的出発点も、韓国と全く同じだった。韓国の外貨準備高の虚構性、経常収支に対する暗い見通し、対外債務や金融システムのぜい弱性など、すべてを「はす」に構えて見たシナリオだった。

 だが、日本側のシナリオは、初めから結末が明らかだった。「中国の韓国支配論」だ。内容は次の通りだ。「韓国が危機に陥ったら、韓国を助けられるのは中国だけだ。日本は韓国を助ける余力がない。中国は韓国が底辺まで落ちた後、手を差し伸べることで韓半島(朝鮮半島)に対する支配力を最大にするだろう」。今回の危機は、中国による韓国支配の一通過点になるということだ。

 こうしたシナリオは、フリージャーナリストの櫻井よしこ氏が「週刊新潮」11月27日号に「韓国の危機、中国が支配確立か」という文を寄せたことで、日本の知識人コミュニティーにおいても正式な議題に浮上したようだ。代表的な保守派の論客が、代表的な保守系週刊誌に文を掲載していることから、最悪のシナリオが日本の保守派により加工・増幅されていることはすぐに察しがつく。しかも、櫻井氏は「中国をけん制するため、日本政府は韓国を支援すべき」と提案している。大陸の韓半島への影響力拡大に敏感な日本の保守派の、典型的なアプローチ法だといえよう。

東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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