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厚生労働行政の在り方に関する懇談会(第4回)

議事要旨

  1. 日時:平成20年11月12日(水) 17:59〜19:29
  2. 場所:官邸小ホール
  3. 出席者
    浅野史郎(慶應義塾大学教授)、岩男寿美子(慶應義塾大学名誉教授)、大熊由紀子(国際医療福祉大学大学院教授)、奥田碩(トヨタ自動車株式会社取締役相談役)、高山憲之(一橋大学教授)、土居丈朗(慶應義塾大学准教授)、松浦稔明(坂出市長)、薬師寺泰蔵(慶應義塾大学客員教授)、内閣官房長官、内閣官房副長官(政務、衆)、内閣官房副長官(事務)、厚生労働大臣、大村厚生労働副大臣、渡辺厚生労働副大臣
  4. 議事概要

    ○奥田座長 それではただいまから、厚生労働行政の在り方に関する懇談会、第4回目を開催いたします。
     本日は朝倉委員とテリー伊藤委員が欠席ということでございます。
     本日の会議では、年内の中間まとめに向けまして、これまでの議論を整理して、さらに議論を深めていただくということとしております。
     先週、社会保障国民会議の最終報告が公表されましたが、この報告は、政策面において今後の厚生労働行政の在り方に大きくかかわるものであります。このため、この報告を念頭に置きまして、行政の進め方やまた組織の在り方についての議論を進めたほうがよいのではないかと思われますので、まず初めに内閣官房のほうから最終報告のポイントを簡単に紹介していただきたいと、このように思います。

    ○奥田座長 それでは、事務局からお願いします。

    ○内閣参事官 それでは、事務局のほうから、社会保障国民会議最終報告につきましてご説明申し上げます。資料1−1をごらんいただきたいと思います。
     資料1−1をめくっていただきますと目次がございます。1、2は最終報告の位置付けと、中間報告を要約したものでございます。これらは省略いたしまして、3、中間報告後の議論以降につきまして簡単にご説明させていただきます。
     6ページをおあけいただきたいと思います。
     中間報告後の議論でございますが、まず低所得者対策と能力開発政策についてでございます。中間報告では、社会保障の基盤を支え、同時に安定的な経済の基礎を支えるものとして、現役世代の活力の維持・強化、具体的には現役世代の所得・雇用保障の重要性を強調しております。
     最終報告では、それらに加えまして、低所得者対策について、中小企業での就労機会の拡大、地域ごとのきめ細かい支援策の実施の重要性のほか、特に現役世代が一時的に生活保護に陥っているような場合など、それらから抜け出すことができるための、7ページにございますが、「ばね板」的な政策。そういうふうなものの実践を考えるべきとの指摘がございます。
     また、能力開発政策につきましては、中間とりまとめに記されました施策の具体的な推進体制の整備。それから、工程表を作成して、早急に実施すべきこと。職業生涯が長期化することに対応した能力開発支援を行うべきこと。さらには、若い時代の能力開発対策を強化することで社会保障を支える基盤の強化を目指すべきであることなどを指摘してございます。
     次に、医療・介護のシミュレーションでございます。8ページの(3)でございます。
     医療・介護のシミュレーションにつきましては、中間報告以降に残された最も大きな課題でございますが、中間報告で示された考え方に従いまして、医療・介護のサービスのあるべき姿を実現するという観点から、サービス提供体制について一定の改革を行うことを前提に推計を行ってございます。そういう意味では、これまでの通常の医療費推計、現状を投影するような医療費推計とは一線を引くものでございます。
     シミュレーション結果の概要でございますが、現状、41兆円、対GDP比7.9%が、2025年時点におきまして、現状投影シナリオ―現状をそのまま引っ張りますと85兆円程度、10.8から10.9%程度のGDP比でございます。一方、改革シナリオでは91から94兆円程度、GDP比で11.6から12%となってございます。
     追加的に必要となる公費財源につきましては、2025年時点で現状投影シナリオで対GDP比プラス1.4%程度、消費税率に換算いたしますと3%程度でございますが、改革シナリオでいきますと、対GDPでプラス1.8から2%程度、消費税率換算で大体4%程度となってございます。
     ちなみに、中間地点の2015年時点ですと、改革シナリオで対GDP比プラス0.6から0.7%程度、消費税率換算で1%程度というふうになってございます。
     次に、少子化対策でございます。
     9ページの(4)でございますが、少子化対策につきましては、最優先で取り組むべき待ったなしの課題であり、新たな制度体系構築に向けた基本的視点として、仕事と子育ての両立を支えるサービスの質と量の確保、あるいはすべての家庭の子育ての支援などを指摘してございます。
     さらに、昨年とりまとめられました「子どもと家族を応援する日本」重点戦略会議におきまして、国民が望む少子化対策実施のための追加的財源が1.5兆円から2.4兆円と推計されていることも踏まえまして、少子化対策は未来への投資として、国、地方、公共団体、事業主、国民が、それぞれの役割に応じ費用を負担していくよう合意形成が必要であるとしております。
     以上のような議論を踏まえまして、11ページにございますが、大きな4でございます。社会保障機能の強化に向けてということで、年金・医療・介護・少子化について、それぞれ述べてございます。
     まず、年金制度につきましては、基礎年金の財政方式につきまして、国民会議のシミュレーション結果が、建設的な制度改革論議を行うための共通の土台となる基礎資料として活用され、議論がされることを期待することを述べるとともに、未納問題は現行制度最大の問題でありますが、この問題はマクロの年金財政の問題というより、全ての国民の老後の所得保障が十全に機能しなくなることがより大きな問題であるとして、未納対策の強化、基礎年金の最低保障機能の強化等が大きな課題であるとしております。
     次に、医療・介護のサービスにつきましては、シミュレーションが前提としております医療の機能分化、急性期医療を中心とした人物・物的資源の集中投入による早期の家庭復帰・社会復帰の実現、それから在宅医療・在宅介護の大幅な充実、地域での包括的なケアシステムの構築による患者等のクオリティ・オブ・ライフの向上といったサービス提供体制が実現されれば、現在とは格段に異なる質の高いサービスが効率的に提供されることとなるとしております。
     同時に、そのためにはサービス供給体制の計画的整備、診療報酬・介護報酬体系の見直し、マンパワーの計画的養成・確保など、制度面を含めたサービス提供体制改革のための相当大胆な改革が必要になるとして、改革の実施のためには具体的な改革の道筋を明らかにしつつ、一つ一つ確実に改革を実現することが必要であるとしております。
     さらに、5月に諮問しました基礎年金に関する財政シミュレーション、今回の医療・介護費用に関するシミュレーション、それから昨年の重点戦略会議報告を踏まえまして、追加的に必要となります公費負担につきまして、全体的な姿を示してございます。
     付属資料の1−2をあけていただきたいと思います。
     1枚目が2025年度、2枚目が2015年度でございますが、社会保障の機能強化のために追加的に必要となる公費負担は、消費税率に換算いたしまして、一番下の四角でございます。これは年金の国庫負担、2分の1に上げる費用も含まれてございますが、基礎年金につきまして現行社会保険方式とする場合につきましては、2015年に3.3から3.5、2025年は6%程度。基礎年金につきまして、税方式に転換する場合ですと、2015年には6から11%、2025年には9から13%程度の財源が必要ということになってございます。
     本文に戻りまして、このような数字を示した上で、速やかに社会保障に対する国・地方を通じた安定的財源の確保のための改革の道筋を示し、国民の理解を得ながら具体的取り組みに着手すべきと結んでございます。
     なお、最終報告のとりまとめに際しまして、麻生総理から特に発言がございまして、年内にとりまとめる財政の中期プログラムの中で、持続可能な社会保障とその安定財源の確保に向けた改革の道筋を提示する所存。このために改革の実施に向けた具体的な基準を工程表として具体化することが必要となる。国民会議の座長分科会長には、この工程表づくりにご協力いただきたいとのご指示がございました。
     次に資料の1−3を見ていただきたいと思います。
     10月30日の「生活対策」の抜粋でございますが、第3章の財源のところでございますが、その2というところで、持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた中期プログラム策定というのがございます。以下を「基本骨格」とする中期プログラムを年末の税制改正においてとりまとめるということで、(2)のところが社会保障安定財源の確保でございます。
     社会保障制度につきまして、その機能強化と効率化を図る一方、基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げに要する財源をはじめまして、安定した財源を確保する必要があるというふうなことが書かれてございまして、2010年代の半ばまでに消費税を含む税制の抜本改革を速やかに開始し、2010年代半ばまでに段階的に実施するとされてございます。
     その際、国民の理解を深めるために、現在に行われている歳出の無駄排除と行政改革を引き続き行うとともに、社会保障給付とその他の予算とは、厳密な区分経理を図るとされてございます。
     事務局の説明は以上でございます。

    ○奥田座長 ただいまの説明についてご質問ございますか。
     はい、どうぞ。

    ○松浦委員 医療のところで、8ページの亜急性期、それからリハビリですね、亜急性期・回復期のリハビリ、これをふやすということが書いてありますね。ところが、現場の感覚で言いますと、我々も亜急性期のリハビリというのは非常に必要だと思っているわけです。思っているんですが、回復期のリハビリ病床をふやす、あるいは亜急性期をふやそうとしますと、今やっている医者に非常に多く反発を買うんですよ。亜急性期とか回復期のリハビリをやる病院というのは二流とみなされるのでしょうか。そういうイメージが高いんですね。だからその辺のことの重要性をもう少し大々的に宣伝してもらって、私はやってほしいと思います。これは非常に足らないと思います、我々のところでは。
     以上です。

    ○奥田座長 あとございますか。
     ないようでしたら議論に入りたいと思いますが、本日は前回の会議の最後に申し上げましたとおり、私のほうで岩男委員、高山委員、土居委員のお三方を指名させていただきまして、これまでの議論の整理をお願いいたします。本日はこれに基づきましてご議論いただきまして、来月には今後検討を深めていくべき論点を整理して中間まとめとしたいと思います。
     3人の委員におかれましては、お忙しいところ本当にありがとうございました。代表して土居委員からご説明をお願いします。

    ○浅野委員 ちょっといいですか。

    ○奥田座長 はい、どうぞ。

    ○浅野委員 ご説明を聞くための心がまえとしてもちょっと確認をしておきたいんですけれども、これからのスケジュールです。つまり、こうやって議論が整理されまして、ざっと見ましたけれども、12月の半ばにもう1回やって、そのときに中間とりまとめというのを出すというふうな扱いでお知らせをいただいているんですが、そうなると、実質的にこの場で議論するのはきょうだけということになるんですか。

    ○奥田座長 議論としては今日だけですけれども、もしいろいろなご議論とか、そういうのがあれば、メールかファクスで事務局のほうへご意見を言っていただければいいと。

    ○浅野委員 それと中間とりまとめという言われ方になっていますけれども、それは論理的に言えば中間とりまとめがあれば、最終とりまとめがあるということなんですが、それはその中間とりまとめの後どのくらいの状況で、政治状況はかなり流動的だからだれもわからないと思いますけれども、つまりちょっと心配していますのは、我々も委員として指名されて、こうやって議論してきて、中間とりまとめが実質的に最終とりまとめになってしまうとすると、我々の名誉にかけても、結局それがこうやってやった、私も名を連ねた委員としての、これが今回の結論ですということになるのが、実質的に今回1回限りというのはかなり厳しいなと。それから内容にもかかわりますけれども、ちょっとこれは甘いなというのは、これは内容がかかわるので今言いませんけれども、そうなるとちょっとスケジュールということについて……

    ○奥田座長 中間とりまとめの後のスケジュールというのは何か考えているんですか。

    ○内閣参事官 一応、年内に中間とりまとめ、年度内に最終とりまとめということでございますので、最終とりまとめは3月いっぱいと。そういうイメージでございます。

    ○浅野委員 3月ごろ何がどういうふうになっているかわからないというのは置いておいて、そうすると、中間とりまとめまでは、もうきょうやったら、その次やるときはもう中間とりまとめがもう提出されるんですか。

    ○内閣参事官 というか、中間とりまとめの案が提出されるということになると思います。

    ○浅野委員 案が提出されるということ。

    ○奥田座長 だから、今日やって、一応皆さんのご意見をいただいて、それをまとめますけれども、それでも足りなかったという話であれば、また事務局のほうへファクスなりメールで出していただければ、それによって中間とりまとめを……

    ○浅野委員 内容にかかわってきますので、とりあえずその確認だけにさせていただきます。

    ○奥田座長 それでは土居さん、お願いします。

    ○土居委員 座長から仰せつかりまして、岩男委員、高山委員とともに、私どもでこれまでの会議で出されました議論の整理をさせていただきました。あくまでもこれまでに出た議論をベースにしておりますので、まだ出尽くしていない論点もあろうかと存じます。浅野委員ご指摘のように、今後さらに追加ないしは補足するべき論点などがあると思いますので、ぜひ今回でいろいろ追加補足していただければ幸いに存じます。
     資料2のほうに、3委員でまとめました議論の整理ということでお出ししております。
     これのもとになりましたのが、参考資料として配付されております、これまでの個別事項の各委員から出されたご意見などが整理されておりますけれども、これも一つの土台として活用させていただいております。いろいろまだ言葉として補い切れていない部分だとかがあるかと存じますので、ぜひこの場でいろいろご意見を賜ればと思います。
     資料2の1ページ目でございますけれども、まずはこの懇談会のそもそもの問題意識ということで、厚生労働行政についてはさまざまな問題が発生したことを踏まえて、国民の信頼を回復するということが必要であると。さらには再発防止を図りつつ、その信頼回復に向けどう努力するかということが、ここで、以下、議論の整理をさせていただく基本の方針ということになっております。
     それから、基本的には厚生労働行政を取り巻く環境というのは非常に大きく急速に変化しているということなので、それにいかに対応するような行政運営、あるいは行政組織を確立するかということは重要な論点かと存じます。
     そこで、この議論の整理といたしましては、3つのポイントにまとめまして、1つ目が行政運営の在り方、2つ目が行政組織の在り方、そしてこの2つでは必ずしもくくることができないようなこととして、その他ということで、3つのポイントで議論を整理しております。
     まず、最初の第一の行政運営の在り方ということで、これまでに各委員、さらには有識者の方からも出されたこの会議で出てきた論点として、9つほど挙げております。
     まず最初に、国民のニーズ等を的確に把握するための行政の在り方として、まずは厚生労働行政を取り巻く状況の変化に対応して、国民のニーズの変化を的確に把握して、政策立案につなげる必要があるということで、特にこれまでの取り組みに加えて、エビデンスに基づく政策立案、さらには研究機関の活用、各種調査を用いた国民生活の実態把握などをどういうふうにこの政策立案過程に取り込んでいくかということが重要なポイントになってくるだろうということであります。
     それから、続きまして、国民の理解と納得を得るための行政の在り方ということで、3点ほどこれまでに出された議論をここで挙げております。
     行政の立案・決定過程を透明化して、国民にわかりやすくするための方策として、審議会・検討会などの在り方、それから政治と行政の関係を含めて、その在り方を根本的に考える必要があるのではないかということであります。
     それから、Bでございますけれども、データ・情報の積極的な公開・開示ということはこの場でも何人かの委員からご指摘があったところでございまして、国民に対する説明責任を果たして国民の理解と納得を得られるように情報公開にどう取り組んでいくかということが検討する論点であろうということでございます。
     それから、Cのところでありますけれども、政策の立案から実施までの各段階において、国民に対して丁寧かつ適切な情報発信・広報を行うための方策はどうあるべきかということがこれまでの議論の中でも出されたところでありまして、具体的にはこれまでの審議会等の成果が必ずしも引き継がれていなかったり、生かされていなかったりしている部分というのがあって、これが国民にも十分な説明になっていないという部分があるのではないかという指摘を踏まえて、このように記しております。
     おめくりいただきまして、2ページ目でございますけれども、次の論点といたしまして、政策の効果を点検して改善する仕組みといたしまして、PDCAサイクルをいかに行政に組み込むかということが、これまた重要な論点の1つかと存じます。そして、その政策の効果を点検して改善を適切に行う、それから個々の事業について改善を効果的に促していくようにするには、どのような評価方法や結果の説明方法が必要かということをPDCAサイクルの一環を担う形でどういうふうに組み込んでいくかということが重要であろうと思います。
     それから、これは厚生労働行政を取り巻く変化の大きな1つと言えると思いますが、厚生労働行政の重点が権力行使からサービス提供へと性格が変化していくということに対応した取り組みというものが必要なのではないかということもこれまでの議論の中で出されておりまして、E、Fでまとめております。
     特にEでは、行政運営において、迅速さ、わかりやすさ、正確さというものが必要であるということで、これをどのような形でサービス提供の行政に生かしていくかということが重要であろうということであります。
     Fは、特に国と出先機関、国と自治体との体制の整備、それから職員の資質向上を図るということが、厚生労働行政を国民に身近に接する形で提供することをどう改善していくか。さらにはまた苦情処理の問題もありまして、これをより適切に行う仕組みとしてどのようになるべきかということも議論する必要があろうということで、これまでにご意見をいただいていたところであります。
     それから、危機管理能力の向上という点でも、大まかにいけば2点ほどにまとめられようと思います。
     まずは、いろいろな諸問題が予期せぬ形で起こるという場合に、迅速な行政の対応が必要であるということであるけれども、必ずしも適切かつ迅速な対応がこれまでにできていなかったことがあったということを踏まえて、そういう予期せぬ事態に対して適切に対応できる機関能力を高めるためには、どのような方策が考えられるかということを問題提起されました。
     それから、Hでありますけれども、もう少し違った観点で、より具体的に言えば、新型インフルエンザ対策とか、医薬品安全など、健康や安全に関する問題に対する取り組みということで、国民の安心を実現するために、さらにはグローバルな視点からの海外情報の収集といったようなものを含めました危機管理能力をどのように高めて行政運営の改善に活用していくかということは、これもご指摘のあったところであります。
     以上が、第1の行政運営の在り方に関する論点としてこれまでに出された議論をまとめたものであります。
     第2に、行政組織の在り方についても、これまた幾つか論点が提起されまして、4点ほどまとめてございます。
     まず最初に、厚生労働省の担うべき事務・事業、組織、人員の在り方ということで、現下の行政課題に的確に対応するために、真に厚生労働省が担わなければならない事務・事業を選別していくべきではないかというご意見がありました。特にガバナンスの観点から、組織を適切な規模にし、かつ、その行政課題や業務量をより身の丈に合ったものにしていくということもこれまた重要であるという指摘があったところであります。
     それから、官と民、それから国と地方の役割分担ということについても意見が出されまして、特に行政の的確かつ効率的な実施のためには、官と民の役割分担、それから国と地方の連携と役割分担、さらには本省と地方局の適切な関係というものをどのように考えていくかということは問題提起がございました。
     3ページにまいりまして、縦割行政の是正ということは、これは厚生労働行政のみに限らないところではございますが、この懇談会の中で出されました論点といたしまして、国民のニーズの多様化、複雑化に伴う新たな課題をどのように組織横断的に取り組んでいくか、総合的に取り組んでいくかということが問われるということでございます。
     最後の4点目でございますけれども、不祥事の再発防止、業務の効率化、人材育成、人事運営等の論点、ここに一括してまとめてございますが、まずは第2回の会議でも整理がありましたけれども、これまでの問題事例や不祥事に対する批判をどのように適切に受けとめて、職員が規律を保ちつつ、仕事を通じて国や国民に貢献する意欲を引き続き持ち続けながら、適切に行政実務を執行できるような体制として、どのような体制があるべきかということであります。ただ、批判ないしはバッシングということだけですと、士気が上がらないというところもありますので、職員のインセンティブをどのようにつけていくかということも重要な論点であろうと思います。
     さらには業務の効率化に関連するところも議論として出されたところでありますし、コンプライアンスの徹底など、再発防止のための仕組みづくりをどのように考えるか。さらには研修などの人材育成、それから固定的な技官人事の見直しといったところも議論がございましたので、ここでまとめて盛り込んでございます。
     この第2点に関しましては4点ほどの形で議論を整理させていただきました。
     最後に、以上の2つの点では必ずしもまとめ切れない論点といたしまして、その他ということで、2点ほどここに列挙しております。
     ここは、まず1点目は、社会保障の費用に関する予算等の仕組みということで、これは座長もご関心をお持ちであるというふうに伺っておりますけれども、今後、社会保障に要する費用を安定的に財源調達するためには、予算・決算の仕組みをどのように考えるべきか。この点については論点として出されましたが、まだ必ずしも議論としては深まっていないので、今後ご議論があるところかと存じます。
     それから、先ほど社会保障国民会議の最終報告についてのご説明がありましたけれども、この最終報告を受けて、厚生労働行政の在り方をどのように考えていくかということも今後議論を深めていく必要のある論点ではないかというふうに考えております。
     私からは以上です。

    ○奥田座長 どうもありがとうございました。
     それでは、ただいまの説明、それから先ほどの社会保障国民会議の最終報告、この両者を踏まえまして、検討すべき項目として追加すべき事項とか、あるいはまだ議論が足りない問題、それから今後の検討の中で強調すべきこと、こういうことについて忌憚なくご意見いただきたいと思います。

    ○浅野委員 かなり根本的な話になると思いますけれども、そもそもこの懇談会というのが設けられたのは、私は福田前総理の、それから舛添大臣の、かなりせっぱ詰まった危機的な思いというのがあったんだと思っているんですね。この時期に、ある意味では突然というか、こういうのがあって、そしてやるというのは、これは、私は覚悟のほどというか意義づけというのはかなり強く受けとめたんです。全体の雰囲気から言うと、その思いがここに伝わっていないのではないかという気がします。
     幾つかその具体的な点を申し上げたいと思いますけれども、まず私はその意味で一番大事なのは一番最初の部分だと思うんですけれども、つまり今回は、とんでもないというふうな表現をされるような不祥事だと思うんです。言葉の広い意味で言ったときに、国民からあきれられたと。何だと、厚生労働省はどんな仕事をしているんだということが幾つか続けざまに出てきて、それに対してやっぱりこれはもう、個別のこの問題にこう対処するというのではなくて、厚生労働行政全体の在り方というものを根本的に変えていかなければならないという危機感に立っていたというふうに思っています。
     そのときに非常に大事なことは、挙げられた不祥事ということが、なぜそうなったのかということの原因究明だと思うんです。それについては前々回に、厚生労働省当局から事例として年金記録問題、フィビリノゲンの薬害、それから後期高齢者医療制度、それから小田原なんとかですね、挙げられて、そしてそれについて、私も含めて何人かの委員から、ちょっと原因が違うんじゃないかと。もうちょっと本質的なものがありますねというようなことが挙げられました。あれをもう少し詰めるべきだと思うんです。
     つまり、改革の方向を出すためには、その原因を究明しないと、つまり反省しているということですけれども、何を反省しているのかが明確になっていなければ、それに対する方策は出てきようがないんです。そして、あの時点で我々委員が感じたことは、ずれがあると。厚生労働省の考えていることと。それは本当に実は物すごく大きなことなんです。それがずれがずれのままで行ったのでは解決にならないんですね。
     ここのところが、議論の整理ですから簡単に書いてあるんですけれども、さまざまな問題が発生したことを踏まえ、真摯に受けとめ、再発防止を図ると、ここを書き込まなければ、私はそれがかなり今回の、報告ということがあるとすれば、非常に大きな点ではないかというふうに思っています。
     まずそれがあって、それから順不同に言ってしまいますと、一番目のCですけれども、広報のことが挙げてあります。これは、何か当たり前のことのようなんですが、私はこれはちょっと違うと思っているんですね。つまり、これはひょっとして後期高齢者医療制度のことを意識してもいるんではないかと思っているんですね。あのときも言われました。内容はよかったんだけれど、広報が悪かったということなんですが、それは広報も悪かったかもしれませんけれども、内容というか、私はそれは手続だと思っているわけです。
     大熊委員からも指摘がありましたけれども、あの案をつくる際に、そもそもコンセンサスを得るような、そこのところがかなりちょっと飛ばされてしまった。つまり当事者が入っていないと。同じ結論になっても、当事者が入っていれば、それはもう問題はかなり縮小されるんですけれども、そこのところがないままにいったのではないかというようなことにあって、私はちょっと広報を強調することは、むしろ問題をずらすことになるんではないかというふうに思っています。
     細かいところはちょっと別にして、組織の在り方ですけれども、現在、地方分権推進委員会のほうで、丹羽委員長で議論されている出先機関の整理の問題です。これは今、オン・ゴーイングで同時並行的にあるんですよね。これについては厚生労働行政側ではどう考えるんだということ。厚生労働省で考える、我々もどう考えるのかというところもあるんですけれども、これに対しては総理のかなり明確な指示が出されたわけですね。農政局と地方整備局については、廃止に近いような見直しみたいなことがやられているわけです。
     その際に、私はこの全体を通じてですけれども、あれも霞が関改革の一環ですけれども、霞が関改革の本当は先鞭をつける一番いいラインにつかされているのが厚生労働行政だと。災いを転じて福みたいなものですけれども、こういうようないろいろな不祥事ということになったとき、じゃ、改革するならば、まず厚生労働省が先だと。そうすると、横並びの出先機関の問題についてもどう考えるんだということを、この程度のもので済むんだろうかなと。
     つまり、例えば表現としても、2ページの一番最後に本省と地方局の適切な関係はどうあるべきかということではないんですよ、もうこれ。やめてしまえということを言われているわけですから。どこまでやめてどこまで都道府県に移譲するのか。ほかの出先機関と統合するのかと、そこも問われているのに、本省と地方局の適切な関係では済まない今現在の状況だということが、ちょっと問題として抜けているんではないかと。
     それから、今のこの部分ですけれども、国と地方との役割分担というところで、これも私も指摘した、この際ここで補助金行政の在り方というのを、補助金を相当程度もうやめると。これはむしろ私はフィブリノゲンの薬害に結びつけて、国際化への対応が足らないというのは、補助金分配業のほうに人手が取られているということではないかというのは指摘したんですけれども、そこもちょっとここでどこまで意識されているのかということです。
     それから、あと全体を通じて、この中で全く議論されていなくて、私ちょっとだけ問題提起したんですが、天下りの問題です。これまたオン・ゴーイングの霞が関の在り方の問題点ですけれども、ここで逆にこんなふうに引っ詰めて議論して、天下りの問題に全くこの場で触れないというのはおかしいんじゃないかというふうに思われるような気がします。ただ、この場ではよく議論していませんけれどね。
     私は、天下り全廃というのはなかなか難しいというか、わかりやすく言えば、罪深い天下りはやめたらいいんじゃないかと。どれが罪深いということはちょっと言いにくいんですけれども、ただ、フィブリノゲン関係で、僕ちょっと薬務局はやばいんじゃないかと、薬務関係が。それはつまり、取り締まるべきところに行くということは、痛くもない腹を探られるとかですね、例えば。それはちょっと例としてあれかもしれませんけれども。一番罪深いと思われるような天下りをまずやめるというぐらいを出すべきではないかと思います。
     最後です。最後の3番その他、これは奥田座長の問題意識だというふうに今改めてうかがいましたが、これは私は不要だと思います、この3番は。つまり、議論がこちらに行ってしまうと、この場は一体何なのかということがむしろわからなくなるので、これは別な議論をすべきところもあるだろうと思いますし、この懇談会の中ではむしろ不要としたほうがすっきりするんじゃないかと。
     言いたいだけ言わせていただきました。以上です。

    ○大熊委員 ちょっと出なければいけないので、いいでしょうか。

    ○奥田座長 どうぞ。

    ○大熊委員 水曜日が授業なのですが、たびたび水曜日に開かれるので、途中で失礼して恐縮でございます。
     私は本を何冊か出しましたけれども、小見出しだけを並べて、「さあこの本を買ってください」と言っても、だれも買ってくれはしないのです。きょうの案文はすべて、「どうあるべきか」という見出しで、「こうあるべきだ」と書いていない。これでは、わざわざ懇談会をやる必要はなかったのではないか。「こうあるべき」というのが書き込まれていないままで、次の回に突如として最終案が出てきても、どう対処したらいいかがわかりませんので、どうしたものかというふうに思っております。次回までの間でもう一遍、会をやるか、かなり早い時期に文案をつくって皆から添削してもらうとかしないと、だれにも読んでもらえない本が出るんじゃないかなという気がいたします。
     1ページ目の「説明責任を果たし、公開・開示していくということが必要である」という、これはもっともなんですけれども、参考資料の5ページ目のところをお開きいただきますと、私が質問したことへのご回答が載っております。「水増し、架空請求が少なくないといわれていることの真偽についてのデータを厚労省は持っていると思うので、開示していただきたい」と発言したことで、こういう数字が出てきたんですね。この私の質問は、浅野委員から「生データを出して我々に提示してほしい」という発言を受けてものだったんですけれども、このようなとりまとめた数字を見せていただいても、本当にそうなのかどうなのか、さっぱりわからないということがございます。
     それから、2ページ目のHのところに、インフルエンザについて、「グローバルな視点から、海外情報を収集及び」とかいうことが出てきます。私は第1回のときに国際的な視野が欠けているという例で、精神病院をあげました。OECDの専門家から、「日本で精神病院と呼んでいるものは国際的な常識からみると精神病院ではない」と言われている、そういうような代物ができてしまったというのは、国際的に全然視野が広がっていないわけです。薬害が何度も何度も繰り返されるのもそうです。国際的視野ということで一本柱を立てていただきたいというふうに思います。
     今、「その他」については、浅野さんはちょっと否定的に言われたんですけれども、参考資料の最後のほうの22ページ目に、私が2回目のときに、「望ましい医療レベル、福祉レベルを確保するとしたらどのくらいのお金が要るのか、本当の意味の安心の社会保障が得られるためには、これが必要なんだという計算が必要」ともうしあげたことの、図らずもその答えがきょう出てきたというのは大変結構なことだと思います。ただ、それを今まで厚労省はちゃんと主張してこなくて、じりじり、経済財政諮問会議だとか、財務省とか、そういうところに言われるままに後退していき、そして福祉のレベルが低くなった。そのことから、本当は厚労省だけの罪ではないのに、厚生省が非難され、始終お役所が取り巻かれたりなんかしている状況です。「このくらいの予算は医療福祉の質を保障するために必要なんだ」と毅然として言うような厚労省でないと信頼は回復できないと思いますので、そういう意味で、その3に盛られているようなことは入れておいていただいたらいいのかなというふうに思います。
     私の経験上は、中間報告というのは大抵、最終報告になりますので、「3月の最終報告」というのはないんじゃないかなという予感がしております。ですから、もうちょっと丁寧にみんなの意見を反映させていただきたいし、「どうあるべきか」という疑問符を並べただけ報告書では、とても読んでいる国民はがっかりするのではないか。その批判が、この委員たちの身に降りかかってくるのではないかと心配しております。
     先に言わせていただいて恐縮でございます。

    ○奥田座長 はい。いいですか。どうぞ。

    ○薬師寺委員 これを事前にいただいて眺めたときに、何か余りおもしろくないなと思ったんですけれども、2回目読んでみると、なかなかよくできているなと思いました。
     こういう報告書のつくり方は、私も総合科学技術会議等で6年間ずっと慣れているんですけれども、多分いろいろなシナリオみたいなものがやはり重要なポイントではないかと思います。
     このペーパーから見えるシナリオを自分で考えてみたいと思いますが、エビデンスを中心として、データを積極的に公開すると。ここが1ページ目にきちんと言われている。
     2ページ目には、前回、清家さんが言ったように、私もこれを何回も言ったんですけれども、厚生労働行政というのはマネジメント能力みたいなものをきちんとつける必要がある、そのためにデータがなければいけないと。清家さんもそういうふうにおっしゃっているので、PDCAサイクルと。データがないのにそんなPDCAサイクルはできないと。それがまず第1点です。
     それから、森田さんもおっしゃったように、やはり規制行政であったというところから、サービス行政に徹底的にシフトしていると。そのサービスに関してはどれだけのパフォーマンスを示しているかというのはデータが示すわけですよね。だからPDCAサイクルをきちんとやるんだと、こういうことだというふうに思います。
     それから、次の行政組織の在り方ですけれども、シナリオとしてはよくできていて、前回、東大の森田さんが言ったように、応答性が悪いんです。基本的に。じゃ、なぜ応答性が悪いかというと、彼が言っているように、巨大組織になっているからです。巨大組織になっていると調整コストがかかると。ですから、調整コストがかかるから、その部分をきちんと担保していないから、みんな秘密でルーチンワークをするんだと。こういうことですから、そういうふうな筋で考えるならば、ここはやはり国と地方の関係をきちんとやって、全部国がやれば巨大的な組織になって、それが応答性が悪くなって、秘密主義で調整コストも払えない。だから、やはり地方の分権はきちっとやって、地方に渡すものは渡すと、こういう考えをして、少し調整コストを下げない限り、何でも国がやるということになると、やっぱりだめだと。こういうのがここの行政組織の在り方ではないかというふうに思います。
     それから、3ページのことも同じで、やはりここは秘密を持つのがよくないとか言うのじゃなくて、システムとして考えなければ。だから、全部国がやるというような、県の保険とか衛生のところに国の人間が行って、国との連絡をしているんじゃなくて、地域の医療をどうするかということをきちんとやるような仕事をさせない限りPDCAサイクルなんかできないですよね。ですから、そういうようなことで、分散化、分権化、こういうようなシステム改革をやらなければいけないというふうに3ページに書いてある。
     それから、社会保障国民会議の報告ですけれども、例えば清家さんもこの会議の雇用のところをやっているし、それでいろいろな方が医療のこともやっているし、今日は全体のまとめとして、コストの問題をいろいろお話ししましたけれども。ですから、そういうところもきちんと目配りをして、そしてあらすじを決めた報告書になるというふうに理解して、この報告はその点から言うとよくできているなというふうに思います。

    ○奥田座長 いいですか。それでは、どうぞ。

    ○岩男委員 浅野委員は、3の「その他」のところは要らないんじゃないかというご意見でしたが、今の薬師寺委員は、どちらかというと、社会保障国民会議の報告などもちゃんと引き継いで生かしていこうということだと受け止めました。私は、1ページのCのところにもありますけれども、例えば審議会とか懇談会とか、いろいろな会がつくられて、さまざまな議論が行われて貴重な時間が使われるわけですけれども、その成果がやはり十分に生かされないことがこれまでの一つの問題ではなかったかと思っています。恐らくここでの議論も、言いっ放しというのは浅野委員も賛成なさらないだろうと思うんですね。ですから、ここでの結論がほかでもきちんと生かされるということが必要だと思います。
     そういうことを申し上げた上で、国民会議の報告書を読んで、少し追加の論点を挙げたほうがいいのではないかと考えましたので、3つだけ申し上げたいと思います。
     これらは、いずれにも今日の日本あるいはこれからの日本にとって極めて重要な問題点でありますし、国民の関心も非常に高いものだというふうに私自身は考えておりますので、適切な行政の在り方によって強力に推進をする必要があるというふうに考えるものです。
     その1つは、少子化対策ですけれども、これをこれまで以上に強力に推進をして、確実に成果が上がるように持っていかなければいけない。そのための推進体制というのはどういう形であるべきなのか。少子化対策は担当の大臣もおられますし、内閣府にもあり、また厚労省でもいろいろな部署が扱っているというようなことで、きょうの資料の最後に少子化対策関連行政の組織図を資料として出していただきました。これは関連の予算に基づいてつくっていただいたもので、どういう省庁が関係をしているかということがおわかりいただけると思いますが、この推進体制というものを改めて見直す必要があるのではないか。
     それから、2番目として医療及び介護についてです。これは、ますます高齢化が進み、今後、両者の連携というものが一層必要になる。それによってサービスの充実と、効率化のための制度改革であるとか、事業運営を行っていく必要があるわけですけれども、それを行うための推進体制も考える必要があるのではないか。これは資料の2枚目に、医療関係行政の組織と、それから介護関係の組織を一応挙げてございます。これはどちらかというと厚生労働省の中で、完結する問題かと思います。
     それから3番目ですけれども、非正規雇用者に対する施策についてです。既にここ何年か非正規雇用者が増加していることで問題になっているわけですけれども、現下の経済状況でますます深刻化していくことが考えられるわけで、将来の社会保障制度を考える上でも極めて重要な問題だというふうに思いますが、この施策をどういう体制で推進していくのかということも一つの論点ではないかと思いますので、補足をさせていただきたいと思います。

    ○奥田座長 はい、ありがとうございました。どうぞ。

    ○松浦委員 制度の在り方とか厚生労働省の全体的な在り方というような大きな問題は、残念ながら、私はよくわかりません。ただ、いろいろな問題が発生したことを踏まえて国民の批判を真摯に受けとめとか、こういう文言があるんですが、その後にこういうペーパーがありますけど、今の現状から言えば、政権交代、与野党逆転があってもおかしくないというような状況の中で、私は何かやっぱり政府が信頼を取り戻す、政府の内閣の支持率が上がると、そういうようなものが何か私は欲しいと思うんですね。私は前から申し上げておりますけれども、いわゆる国の行政組織に対する民衆訴訟です。
     これは、私、地方行政の長としていろいろ皆さんとも話をするんですが、これを言いますと、それやったらもう支持率ずっと上がるよと。これはみんな反応が出ますね。これが一番私は、いろいろの組織の緊張度を高める、私は一番大きな力になるんじゃないかと思っております。私なんかもしょっちゅうそういう危機にさらされておりまして、ですから緊張しっ放しなんですね。それはもう損害賠償は私に来ますからね。
     ですから、そういうような危機感を持って取り組まれるということが、そういうものを一つつくっておくと。それで、あとはいろいろな、今、少子化対策であるとか、医療・介護の問題が出ていますが、そういうものはもちろんやっていかなければいかんことは、これはもう当然なことでして、それをやるよと、この対策でやりますよというものを国民に示して、それで今、政府の支持率が上がるかといったら、私は上がらないと思います。それよりも具体的に住民訴訟の法律を導入しますと。こうやれば、間違いなく私は支持率が上がると思いますので、そういうものを何か1つ欲しいですね。
     それから、これはテレビのニュースが題材になって非常に恐縮なんですが、労働組合の在り方といいますか、状況を探るために予算をつけて、それが何か会計検査に引っかかっていましたね。私、こういう問題を聞きまして、それで第1回のときに私、質問を出したのですが、組合との間に約束事、覚書、確認事項、そういったものがありませんかと言ったら、ないという回答が返ってきたんですね。もう一度改めて、私、その質問をさせてもらいたい。本当にないんですかと。約束事を交わしたものは全くないのかと。そういうものがもしあれば、私は組織の在り方は一番その辺に原因が出てくると思いますので、ぜひ知らせていただきたいと、そういうふうに思います。
     それから、さっきの医師不足の話に返りますが、DPCを導入して、きょう松田先生のお話をお聞きしておったんですが、やはりそのデータ分析すると、みんな医者が急性期に走り過ぎて、亜急性期・リハビリのほうに余り行かないという、ベッド数も圧倒的に急性期が多いというデータを示されたんですが、私はそれは、根本には医師の絶対数が足らないという問題があると思いますけれども、やはりお医者さん自体の意識を変えるにはどうしたらいいのかと。
     もう大学の教育自体から変えていてもらって、高度先進医療ばかりが必要なんじゃないと。たまたま松田先生はきょう、「王、長嶋は、回復期のリハビリがあったから、ああいう具合になったんだ」という例を示しておられましたが、お医者さん自体の意識を改革しなければだめだと思いますね。私どもも今、市立病院をもっていますが、それで非常に苦しんでいます。
     以上です。

    ○奥田座長 高山さん、どうぞ。

    ○高山委員 これまでの議論の整理に参加した者の一人ですので、お示ししたとおりでありますけれども、私が強調したい点を少し述べさせていただきたいと思います。
     大熊さんがおっしゃったように、こうあるべきだという議論は、ここではほとんど書いてありません。そういう議論を余り時間をかけてしてこなかった、各個人の意見としていろいろ表明はあったんですけれども、委員全体がそういうことに対して共通の見解を持っているかどうかの確認がなされていません。そのため、論点整理として、こうあるべきだということまで書けなかったということだと思うんです。ただ、それをしなくてはいけないということは重々承知をしています。
     これまでの議論の整理ということですから、今までの議論を踏まえて、網羅的かつ平板に書いてしまったと思うんですね。何が重点か、改革に当たって何が必要かという、もうちょっとアピールする点をこれからみんなで議論をして、書き込まなければいけません。
     私としては、大熊さんが最初の会議のときにおっしゃったと思うんですが、参加ということの重要性、そこの書き込みがまだ必ずしも十分でないんですが、今回の社会保障国民会議の最終報告の一番最後のパートに参加という言葉が何回も出てきております。行政と国民・住民の間に距離感というものがあって、自分たちの知らないところでだれかが勝手に決めている、自分たちはそれを押しつけられるだけであり、そんなものに従えるかとか、おれは知らなかった等々、当事者意識が乏しい。それが行政との距離感を生んでいる、あるいは反発の原因になっているというふうに考えています。
     コンプライアンスの話はどちらかというと、行政にたずさわる人のことしかここには書いていないんですが、実は国民だって負担をしたり、給付を受けたりする際にコンプライアンスが必要です。あるいは事業主もコンプライアンスは大事です。やはり、自分が物事の決定に関与している、参加している、最終的には自分の主張と違ったものになったかもしれないけれども、少なくとも決定過程に参加しているという意識は非常に大事なことだと思うんですね。社会保障国民会議の主張のとおりです。それが最初に申し上げたい点です。
     それから2点目。浅野委員が、ファイナンスの問題については、これは確かに大きな問題で、この在り方懇で議論し切ることができるかというご懸念をお示しになったと思うんですが、私としては、今後の行政展開、あるいは信頼を回復するには、このファイナンスの問題は避けて通れないと実は思っているわけです。ファイナンスの問題に対して、何らかの方向性を書き込むことができたら、というのが私の意見です。
     きょう配付された資料(資料1−3「生活対策」)に、この10月30日に政府・与党会議、経済対策関係閣僚合同会議の決めたものがありまして、その裏側の(2)に社会保障財源の確保ということがいろいろ書いてあります。その最後のパートに、社会保障給付とその他の予算とは厳密な区分経理を図るという記述がございます。今でも実は厳密な区分経理をやっていると私は思っているんです。新たにこの資料でこのことを書いたことの意味を我々の間で議論をして、具体的に書き込むことが求められているのではないかなと思っているんです。
     そういう意味でファイナンスの問題、これまではこの場でほとんど議論してはおりませんけれども、私は非常に重要なポイントだと思っています。
     以上です。

    ○奥田座長 はい、どうぞ。

    ○土居委員 先ほどは3委員のとりまとめのご紹介ということで、あえて持論を述べずに淡々と申し上げましたので、少し私の考えているところを述べさせていただきたいと思います。
     先ほど大熊委員からもありましたように、私もどうあるべきかということまででとどめた形で中間とりまとめを出しても、ほとんどインパクトはないと思っていまして、願わくばこうあるべきだということが書けるものについては積極的に書けるように、ないしは最終報告までには書くよう努力するというようなぐらいの意欲があってもいいのではないかというふうに考えております。
     薬師寺委員から大変ありがたい言葉をいただいたのですが、少なくともこの論点についてこうあるべきだということを、ある程度具体的に書き込めるような回答をこの懇談会で出せるならば、相当インパクトがあることになるのではないかと思います。さすがにここまで厚生労働行政の運営の在り方だとか組織の在り方だとかを具体的にこう改めるべきだというようなことについては、確かに散発的にはいろいろ議論があったかもしれませんけれども、体系立ったところではまだないというふうに私は認識しております。省庁再編以降ですね。そういう意味では、これらにどう回答をこの在り方懇談会で示せるかというところが、これからぜひ私は議論されるべきではないかなというふうに思っております。
     それから、その他の3のところのファイナンスの点については、高山委員もおっしゃったように、私もこの点については重要な論点だと思っておりまして、少なくとも方向性といいましょうか、こういうアイデアがあるというようなところぐらいは、何らかのアイデアを示せるといいのではないかと。ただ、12月までには間に合わないかもしれないので、ひょっとすると3月というか、年度末の最終報告をにらんだ議論ということになるだろうというふうに思います。
     それから、2ページ目の行政組織の在り方の中で、国と地方の連携、役割分担のところについては、やはり今の動きは地方分権改革という方向性ですから、これといかに整合的に厚生労働行政の体制も整えていくかということは重要で、単なる組織論だけではなくて、何を国が果たし、何を自治体がなすべきかということについても一定の方針、方向性がこの懇談会で打ち出されると、今後さまざまな形でいろいろな地方分権改革の取り組みに資するものになるのではないかなというふうに思います。
     以上です。

    ○奥田座長 はい。あとは。どうぞ。

    ○浅野委員 もうそろそろ、これで終わってしまうということになると、気になるのは12月何日かに出て、新聞の見出しの目玉ですよね。これで出ましたと。何が見出しに出てくるのかというと、今のところ見当たらないんですね。まだ議論が深まっていないということもありますけれども。それでちょっと目玉商品をやっぱり探さなければいけないということなんですが、それで僕はちょっと舛添大臣にそのご覚悟のほどもちょっとお聞きしたい部分があるんですが、例えば天下りというようなことを言ってもいいですかとか、大臣としてはどうですかとか、本当はもらうほうですから、聞いてはいけないのかもしれないけれど、だけどやっぱりある程度そこのところはサウンドをしておかなくてはいけないと。それから、松浦委員がおっしゃった、あれは住民訴訟で国が被告になるという意味ですね。

    ○松浦委員 いやいや、これ、個人も対象になりますからね。

    ○浅野委員 個人もね。つまり、市長が訴えられると同じような形で大臣が訴えられる、国が訴えられるという仕組みを厚生行政の中で、しかし厚生労働行政だけにその仕組みを持っていくということができるのかどうかわかりませんが……

    ○松浦委員 いやいや、それはもう全体に波及させたほうがいい。

    ○浅野委員 まずね。まず隗より始めよとかですよ。これは僕は目玉になると思うし、それから、天下りをもしやめる、全面でないけど、相当やめるという覚悟を示したとかというのは目玉になるし、それから補助金の廃止、幾つかのメジャーな補助金の廃止ということをこちらから提言をもしできたらば、それも目玉になるだろうし、出先機関の廃止もそうですけれど、何かだんだん時間がなくなってくると、ちょっと目玉というものをやらなくてはいけない。
     それで、その文脈の中で最後のその他ですね。ファイナンスの話、いや、そんなことを言ったって必要だと。これはそうなんですが、僕はこれを書いて、これが目玉になったらおかしいんじゃないかと思ったりしているわけですよ。だって、そこのところがこの懇談会のミッションとしてのメインじゃないから。まあ、書いてもいいんですよ。これ絶対書くなと言っているわけじゃないですけれども、アクセントがぼけるという意味で、私はちょっと発言させてもらったけれど、それは大勢に従いますけれども。
     それにしても、この短時間で我々に与えられたミッションの中で、こういうことを提言したというときに、本当に新聞の見出しになるような目玉というのを、少なくともきょうくらいのところである程度少し挙げておかないと、何かぶわーっとなってしまって、こんなのが出たようですねということで終わるのは、ちょっとしゃくですね。
     だから、浅野委員的にはどうだといったら、今言ったことです。天下りとか、補助金の廃止とか、出先機関の廃止とか。それで大臣よろしゅうございますかというのを、もしできたらお聞かせいただきたいと、無理なお願いかもしれませんけれども、思います。

    ○舛添厚生労働大臣 基本的には私は皆さんに提案していただくほうですから、もうどのようなあれが出ようと、それは真摯に受けとめたいとしか今は申せません。

    ○浅野委員 そう言うだろうと思いました。

    ○奥田座長 これは中間まとめを12月15日、次回の会議に予定しているわけですけど、この中間まとめを外へ出すんですか。

    ○内閣参事官 ええ、もちろん。

    ○奥田座長 外に出すというのであれば、もう1回くらい、今日の議論をもう一遍持ち帰って、もうちょっと、今、土居先生にやっていただいた3人の方で、もうちょっと深掘り利していただいて、骨格をつけて、もう1回中間とりまとめの前に時間があれば持ちたいと思いますけれども、それはどうですか。事務局がまとめて出すと。

    ○浅野委員 それは、まとめの3人の方に大変な責任と労力を負わせることになると思いますけれども、今回、どうあるべきかという疑問文型で出してもらいましたけれども、これは原案ですから、たたき台として、しかも目玉みたいなものも挙げていただいて、結論として書いてもらうと。天下り廃止すべきだとかですね。というようなことで、そうすると、やっぱりもう1回ぐらいないと、それで回されて、それぞれの委員のご意見を聞きますといっても、多分これ、甲論乙駁、いろいろあると思いますよ。

    ○奥田座長 だから、次回のときには、どうあるべきかという、こういうような表現は全部とってしまって、やっぱり主体的に充実を、それを12月15日までに、今日の議論と前回までの議論を聞いて、それでとりまとめろと。それを先生方にお見せして、それは12月15日までにできたらやっていただいて、それで皆さん方のご意見をさらにそこで聞いて、それで15日の中間とりまとめにいくということで、言ってみればもう1回やると、資料をつくって。

    ○浅野委員 もう1回こういう場を持つというんですか。

    ○奥田座長 こういう場を持つと。今日から12月15日までの間にね。

    ○浅野委員 それか、12月15日……

    ○奥田座長 以降でもいいですけど。

    ○浅野委員 もう1回それをして……

    ○奥田座長 15日というのは別に、今のところ15日と言っているんだけど、別に15日じゃなくたっていいでしょう。もうちょっと遅くなったっていいでしょう。

    ○内閣参事官 まあ、年内ということで。

    ○奥田座長 年内でもいいし。だから、その間にもう1回やると。

    ○内閣参事官 ちょっと日程等を調整してみまして、検討させていただきます。

    ○奥田座長 はい。どうぞ。

    ○薬師寺委員 2つあると思うんですよね。何が内容の目玉なのかという話、これはきちんと、もう土居さんなんかはわかっているから、それを書き入れるわけですよね。それと、あとマスコミ用に、浅野さんが言ったように、キャッチフレーズみたいなものが、その中から見えるような形で出していくと。そうしないと、厚生労働行政の在り方懇談会は、我々の総合科学技術会議に比べると随分社会的な評判というか注目度が高いから、これを出すだけでも相当影響があるんじゃないかと思います。

    ○奥田座長 影響があるから余計困るんですよ。変なものを出すと困ると。

    ○舛添厚生労働大臣 ちょっとよろしいですか。

    ○奥田座長 どうぞ。

    ○舛添厚生労働大臣 受け取る側が言ってはいけないんですが、ずっと3内閣続いて大臣をやっているものですから、言わせていただきますと、これは福田さんのときにどういう話し方をしたか、私ちょっと、ずっと話していなかったと思うんですけれども、もともと5つの安心プランを出すときに、つまり浅野さんもおっしゃったように、何で厚生労働省ばかりこんなに問題が起こるんだということはありました。したがって、そのときに、例えばこの中間報告的なものが出るとすると、受け取る側から見たときに幾つかポイントがありまして、例えば厚生労働省はなぜほかの省に比べてだめなのと。経済産業省はこんなにすばらしくやっているのに、なぜ厚労省はだめなのと。外務省はこんなにいいのに、なぜだめなのという、他省庁との比較というのは一つあると思います。
     それからもう1つは、先ほど浅野さんがおっしゃったことは、出先機関の問題にしろ、天下りにしろ、補助金についても、我が省だけがかかわっていることじゃなくて、これは今の霞が関全体の問題であるわけですね。ですから、そのときにそこまで問題を敷衍させるのかどうなのか。もしそうだとすれば、我々が率先してそれをやったほうがいいのかどうなのかという問題もありますね。
     ですから、ちょっと今1点だけ申し上げたんですけれども、そういうポイントが今の先ほどのお三方の議論の中で、よその省に比べてお前のところはどうだというのが余り見えませんね。というのがちょっと、もらう側が言うのもおかしいんですけれども。

    ○岩男委員 一言申し上げますと、他省庁と共通の問題と、それから厚労省―特種厚労省の問題と、どうしようかという話し合いもいたしました。しかし、現段階ではこういうふうにしておいて、皆様のご意見を伺って、特に厚労省に関係あるところだけに重点的に焦点を絞って出すということであれば、そのような作業をするということだというふうに思います。
     ですから、私たちの問題意識には、今おっしゃったようなことはあります。ただ、私たちの考えでどうあるべきということをどんどん書き込んでいいものか躊躇がありましたので、むしろもっとご意見を出していただいて書き込むという、そういうことで、本日はこういう形で、どちらかというとニュートラルに問題を提起するというか、整理をしたという、そういうことで出しております。

    ○奥田座長 どうぞ。

    ○薬師寺委員 今、大臣がおっしゃった、なぜ厚労省だけが問題なのか。それは、他省に比べて国民にものすごく関係しているし、命がやっぱり関係している。だから国民もそういう点ではずっと見ている。そこのところはきちんとやっぱりこの報告書の中にも書く必要があると思いますね。

    ○松浦委員 私の感覚では、厚労省だけがとは思っていないですね、国民は。似たようなことは全部どこにもあるんじゃないかというのが一般的な国民の感覚ですね。ですから、私は根っこの部分はやはりしっかりとらえて、前々回でしたか、浅野先生が、範たれと、この改革の範たれと、こういうニュアンスのことをおっしゃっていましたが、私もそうあるべきだと思います。

    ○浅野委員 ちょっと今の舛添大臣の後半のところで、ちょっとニュアンスを一所懸命聞き取っていると、例えば他省にも共通の課題、例えば補助金の問題、出先機関の問題、天下りの問題、それはそうなんです。それをこの厚生労働行政のこれで先に打ち出していいかと疑問文でおっしゃったけど、それはちょっとやり過ぎなんじゃないかというふうにもし聞こえたとすれば、僕は逆だと思っているんです。最初から主張しておりますように、今、松浦委員も少し補強していらっしゃったように、私も個人的に厚生省OBとして、今回の一連の流れは非常に悲しいわけです。だからまじめにやってきているわけですけれども、私が厚生労働省をいじめているようにもし聞こえているとしたら、それはひがみというものであって、私が最も一番傷ついている一人です。
     後ろ向きなもので、こんなことを反省して、ごめんなさいということでは、私のプライドは回復されない、私のというのも変なんだけれど。だから、むしろ前向きに、言い方としてはこれを契機として、もっと言えば災いを転じて福とするみたいなものでやる。そうすると、結構褒められるんじゃはないかと、もしそれをやれば。よくやったと。その前の分が消されるんじゃないかというようなこともあって、私はむしろ、何で経済産業省がこんなにやっているのに、厚生労働省だけへまなこととかこんなことをやっているんだというのもあります。ありますけれども、だとしたらなおのこと、それをばねに、がーんと行くときには、ほかよりもちょっと一歩先に出るということは、私は本当にぜひ必要だと思っているわけです。それが目玉になってほしいということを言いたいと思います。
     それから、岩男委員が今おっしゃったのは、今回のことについてどうあるべきかということでニュートラルに書かれたというのは、もちろんそれはいいんですけれども、もう1回作業をやらなくてはいけないらしいですから、そのときには、それは独断と偏見とは言いませんよ。それは、別に岩男さんのご意見だというのではなくて、とにかくどっちかでバンと書いてもらうわないと議論にならないからということで割り切っていただきたいなと、ほかの3人の方にも申し上げたいと思います。

    ○土居委員 先ほど舛添大臣がおっしゃったことに関連して、なぜ厚生労働省だけなのかについての一つ大きなポイントは、公的保険を担っているという側面が非常に大きいと。ところが、保険というのは民間でもやっているけれども、さすがに社会保障にまつわる部分に関しては公的にやらなければいけない。だけども、保険という仕組みは民間でもやっているということがあったりすると、なぜそんなに公的保険はうまく効率よくやってくれないのかというような、もどかしさみたいものがある。もちろんそこには所得再分配が必要になってくるということがあるので、民間のようにはできないというのは、それはわかるんですけれども、なぜ民間のようにしないのか、これもきちんと説明する必要があるし、ないしは民間と同様に効率的にやろうと思ったら、できる部分は公的保険でもあるんじゃないかというところについてはもう少し効率よくやるというようなところ、その2つのところは、特に社会保障絡みでは大きなポイントです。経済学をやっている側からすると、保険としてもう少しうまくワークしてくれると、年金保険にしても、医療保険にしても、介護保険にしても、「保険」とついているので、国民の安全・安心をよりよく達成できるのではないかと、そういうようなところも国民の側からは、そういう思いもあるんじゃないかと思います。

    ○奥田座長 私の個人的意見を言いますと、本当に腹が立っていますよ。何に腹が立っているかというと、新聞もそうだけれど、特にテレビが朝から晩まで、名前を言うとまずいから言わないけれど、二、三人を連れてきて、もう年金の話とか厚労省に関した問題について、わんわんと毎日毎日やっているわけでしょう。あれだけ厚労省がたたかれるというのは、自分は正直言って厚労省の人間じゃないけれど、しかしやっぱり厚労省だけであれだけたたかれるというのは、ちょっと異常な話なので、私は何か報復でもしてやりたいなというぐらい、それぐらいの感じは個人的には持っておるんですよ。だから、例えばスポンサーとかね。だからそれはちょうど、今……

    ○浅野委員 それを言ってはいかんですよ。

    ○奥田座長 言ったらいかんけども、今のところやっぱりあれでしょう、実際に、だから会社なんか相当、経済の問題で最近沈んできているわけですね。だから、もう経費節減だと。経費節減だとなってくると、もう3Kが出てくるわけです。広告宣伝費と、それから交際費、それからもう1つは何だったかな……、3Kですよね。だから、広告宣伝費なんか出さないと、特に大企業は。
     ということで、私は正直言って、皆さんテレビを見てもらっていてもわかると思うけど、ああいう番組に出てくるテレビのスポンサーは、大きな会社じゃないですよ。いわゆる地方の中小といいますか、変な話だけれど、それはやっぱり流れとしてはあるんですよね。
     だから余計私も、そういう意味で個人的にも、やっぱり今、厚労省がこれだけど突きまくられて、何であんなにど突きまくられなければいかんかというのは、腹が立ってしようがないんです。個人的には座長は、もうこんなことをやらずに、私も言いたいんだけれども……

    ○浅野委員 私もそれのかかわっている、「朝ズバ」なんていう番組に出ていますからね。ただ、私は現職の知事のときからマスコミにいろいろ言われて、実は腹立っていないんですよ。随分ぼろくそに言われているんですけれど。それは、マスコミというのは批判するために存在しているのであって、マスコミに褒められるようになってはおしまいと。マスコミがおしまいということなので、ただ、そこのところでもし奥田座長にあれがあるとすると、うそを言ったり、うそはだめ。事実に反することを公共の電波なりで言われたら、これはきちっと反論すべきなんです。ただ、これが気に入らないとか、厚生労働省やっていることはおかしいとか何とかというのは、これはやっぱり言わせなくてはいかんのですよ。ぜひスポンサーも降りないでください。

    ○奥田座長 事の大小によってね、大きなことを言うのはいいけれど、小さいことを1つずつ持ってきて、こうやって、年金だ何だとかとやられると、正直言って……

    ○浅野委員 それはお腹立ちでしょうが、ただ、それは何かの形で反論するなら反論するということで、むしろそれは問題提起をしているわけですから、問題が広がるということ自体は悪くない。ただ、そこの中に、事実に反すること、誹謗中傷というのも……

    ○奥田座長 それはいかんですよね。

    ○浅野委員 事実に反することを根拠にした誹謗中傷ですね。それはきちっと現に、厚生労働省も報道のたびに言っているようですけれど、だけど、それで、褒めないからいけないとか、けなしたらスポンサー降りるぞというのは、これは座長、言い過ぎだと思います。

    ○奥田座長 いやいや、降りるぞというのではなくて、もう現実にそれは起こっているわけですよ。

    ○浅野委員 そうですか。それはえらいことだ。

    ○奥田座長 だから、今もうテレビ局なんか、正直言って、広告取りに走り回っているわけですけれども、ところが結局聞いてみると、マスコミというのは経営権と、それから編集権は独立したものであって、編集権には経営者は介入できないという話があって、だからいろいろ問題があって、こんなのはおかしいとか言っても、上のほうは編集権に介入できないから何もできませんと、そういう言い方をするんですよね。

    ○大村厚生労働副大臣 ちょっといいですか。私がちょっとこんな立場で言うのはあれかもしれませんが、今、浅野先生が言われたことは、確かに私もマスコミはそういうことだと、批判するためにあるというのはわかりますが、事実に反することが多々あるので、これはその都度、役所も反論しているんでしょうけれど、しかしそれは報道してくれませんからね。やられ損というのはちょっといかがかなと、個人的にはそう思います。ただ、だからといって、じゃ効果的に何か反撃できるかというと、なかなかできないというのはしようがないかなという気がしますが、それはそれとして。
     私はこの立場に来るまで、党とか国会のほうでずっとこの何年かは切り回しをやってきたんで、我々自民党の議員、特に解散総選挙を控えた衆議院議員として、やっぱり国民に直接触れていると、やっぱり本当にこの一連の経過の中で、自民党の中の雰囲気というのは、やっぱり厚生労働省に対しては、はらわたが煮えくり返っているというのが圧倒的多くのコンセンサスだと思いますが、ですから、どういうふうに具体的にどうのこうのというようなことは申し上げるのは控えますけれども、個人的にはいっぱいありますが、だけど、そういう雰囲気、空気もあるので、まさに浅野先生が言われたように、これだけ標榜したやつを打ち返すんだったら、よっぽどやってもらっても、ちょうどちょうどじゃないかという気がしますので、またぜひ先生方にはひとつよろしくお願い申し上げます。そのことだけ申し上げます。

    ○土居委員 今の議論をぜひ、中間とりまとめにうまく活用できるといいんじゃないかと。例えばきょうの資料2の1ページの一番下の4のところなんかは、やっぱりそういう、つまり例えて私がよく引き合いに出すのは、この前の年金改正のときに、未納三兄弟云々というふうな話ばかり盛り上がったけれども、実はマクロ経済スライドとか、非常に年金制度の中で重要な話がきちんとなされていたわけですけれども、そこは必ずしも国民の高い関心を集め切れなかったと。だけど、非常に話題性のある話ばかりが注目されたというようなあたりは、もう少しバランスよく議論ができるような、そういう広報及び報道への働きかけというのはあると思うんですね。
     未納三兄弟の話が注目を集めたから、マクロスライドの話はすっと通ったということなのかどうなのか、私はよくわかりませんけれども、少なくともそういう年金制度の重要な仕組みだと私は思っていますけれども、そういう重要な社会保障の改革が行われているというところは、もう少し国民の関心を集めるような取り組みというものをどう仕掛けていくかという議論は必要だと思います。

    ○奥田座長 それでは、申しわけないですけれど、時間が参りましたので、次回以降の会議については、とりあえず今は12月15日を予定しておりまして、そこで中間まとめをしたいと、こういうふうにロジとしては考えているわけですが、きょうの雰囲気を見ていると、これは早過ぎると。それから、まだ練れていないということですから、申しわけないけど、事務局はお三方の先生と話をされて、もうちょっと詰めたほうがいいですね。

    ○薬師寺委員 ちょっと提案ですけれども、恐らく3人の人たちの有識者ペーパーとして中に提案を書き入れて、それをまず議論したほうが効率がいいんじゃないですか。

    ○奥田座長 いや、そのときに、だからもう1回やるのか、あるいは本当に中間とりまとめに持っていくまでに、例えば書類で原案を送り込んで、それをまたこちらに返していただくとか、それでまとめるという、そういう形のほうがいいかもしれないし、それは一遍、座長である私に任せていただいて、それで処理したいと思いますので。
     それでは、本日はどうも、とりとめのない会議になりましたけれども。