Googleは利用帯域量の“21分の1”に相当する通信料しか支払っていない。インターネット帯域をタダ乗りして,ネットビジネスで大儲けしている。
このように激しくGoogleを非難するレポートを,Scott Cleland(President of Precursor LLC ,Chairman of NetCompetition.org)が先週発表した。
彼の言い分はこうだ。以下のグラフで示すように,Googleは現在,検索市場の70%近くを占め,またビデオ市場の50%を占めている。その結果,米コンシューマーのインターネットトラフィック総量のうち16.5%を,Googleが2008年に消費することになる。
(以上,Clelandのレポートより)
こんなに大量に帯域を使っているのに,Googleは2008年に通信料を3億4400万ドルしか払わないという。米国のコンシューマーインターネットコストの総計が440億ドルと予測されるので,Googleはわずか0.8%分しか負担していないことになる。全トラフィックの16.5%も消費しながら0.8%分しか払っていない。使用帯域量(トラフィック)の“21分の20”をタダ乗りしているGoogleはけしからんと,Scott Clelandという人は吠えているのだ。さらに,検索やビデオ市場におけるGoogleの占有率が増え続けるはずなので,2010年にはインターネットトラフィックの37%が,Googleによってタダ同然で使われてしまうと怒っているのである。
このレポートが出てすぐに,Richard Whitt(Google's Washington Telecom and Media Counsel)がGoogleの公式ブログで反論する。そのブログの中で,サービスの市場占有率から利用トラフィックを算出するのは間違っていると抗議する。データのほとんどが推測だし,まったく信用のできないレポートだと反撃する。ClelandはAT&TやVerizon,Time Warner Cableなどのテレコム/ケーブル会社との関係が強く,支援も受けている。このレポートはかなり恣意的と見られてもしかたない。
この背後には,オバマ政権誕生を間近に迎えて,ネット中立性問題が再燃してきたことがある。ネット中立性を主張するGoogleなどのネットサービス企業と,それに対抗するテレコム/ケーブル企業との間で綱引きが激しくなっている。GoogleのEric Schmidtは大統領選挙でオバマを支援してきたし,オバマはネット中立性に理解を示しているとされているので,テレコム/ケーブル企業側に焦りがあるのかもしれない。
◇参考
・Google uses 21 times more bandwidth than it pays for -- per first-ever research study(Precursor Blog)
・A First-Ever Research Study:Estimating Google’s U.S. Consumer Internet Usage & Cost -- 2007-2010
・Response to phone companies' "Google bandwidth" report(Google Public Policy Blog)
・オバマ政権でインターネットビジネスはどう“Change”するのか(メディア・パブ)
・「大手ポータル企業は死滅する」とネットインフラ側の怒り爆発(メディア・パブ)
2008年12月08日
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