消費増税など将来の税制抜本改革の道筋を示す「中期プログラム」の政府原案が8日、明らかになった。消費増税の時期については具体的な年度を明記せず、物価の変動を除く実質成長率が1%台後半に回復した時点で踏み切ることにする。ただ与党内には総選挙をにらみ、消費増税の時期に触れることに反発も多く、与党との調整は難航する可能性もある。
原案は8日の自民党税制調査会の幹部会合で示された。麻生首相が「消費増税は景気回復後」などと発言したことを受け、実質成長率が潜在成長率を上回る見通しになった時点で改革に踏み切ることを盛り込んだ。
潜在成長率は、国内の労働力や設備などを活用すれば、達成できる成長率。現在は「1%台半ばから後半」と言われている。実質成長率が落ち込んだ後、再び潜在成長率を超えると景気が順調に拡大し始めたことを表す。03年度から5年連続で超えたが、金融危機を受け、08年度は下回ることが確実だ。
政府関係者によると、景気回復を確認してからだと準備に時間がかかり、増税時期が景気後退にかかってしまう恐れがある。このため、潜在成長率を超えた時点で、自動的に増税に踏み切り、景気回復期を逃さないようにする。
中期プログラムは消費増税や法人減税、所得税改革への道筋や社会保障の将来像などを示す。10月末に政府がまとめた新総合経済対策に策定が盛り込まれた。今月12日にまとまる与党税制改正大綱で税制関連法案を決定する。消費増税では引き上げ幅を盛り込まないことが決まっている。