(cache) 東宮職医師団の見解全文 雅子さま誕生日に際し - 47NEWS(よんななニュース)
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  • 東宮職医師団の見解全文  雅子さま誕生日に際し

     皇太子妃雅子さまの9日の誕生日に際し、東宮職医師団が発表した見解の全文は次の通り。(表記は原文のまま)

     妃殿下のご病状は、東宮職医師団が最初に本格的な見解を出しました平成17年12月当時に比べますと、着実にご快復になって来られています。公私に渡りご活動の幅が大きく広がり、最近では、5年ぶりに国賓歓迎行事にもご出席されました。ご公務につきましても、東宮御所でのご接見、ご進講へのご出席、勤労奉仕団へのご会釈、地方を含む行啓、行啓などのご公務に向けてのご準備、東宮職からご相談を受けられる内部の様々な懸案事項の調整や処理など、多くのお仕事をこなされるようになってきていらっしゃいます。

     ご家庭では、愛子内親王殿下が幼稚園から小学校へと進まれた中で、お母様として非常に細やかに気を配られていらっしゃいます。ご家庭とご養育を大切に考えていらっしゃる妃殿下にとりまして、愛子内親王殿下のご成長はとても大きな喜びになっていらっしゃるようにお見受けします。また、この夏には、殿下の海外ご公務が続かれるなか、引越のご準備と後始末をはじめとする多くのお仕事をこなされるなど、とても頑張られました。

     しかしながら、妃殿下のこのような頑張りにもかかわらず、思う通りのご活動がお出来にならず、妃殿下ご自身が心を痛められる状況は未だに続いております。その最大の理由は、妃殿下の心身の状態にご自分で予測できないような波があるということです。そして、この波が下降線の時には、ご体調に不良の症状が表れ、ご活動を控えざるを得なくなります。ときには、妃殿下ご自身に頑張る気持ちがおありでも、心身の状態が限界ではないかと東宮職医師団が考え、ご活動を控えていただくようにお願いすることもあります。妃殿下のご体調に波があるこのような状況につきまして、引き続きご理解をいただきますようお願いいたします。

     一部には、ご治療に時間がかかり過ぎているのではないかというご指摘、あるいは治療の見通しを明らかにして欲しいとの要望がございます。平成17年の東宮職医師団見解では、妃殿下のご病名について慢性の「適応障害」であると明らかにしております。治療に長い日時を要しているということは、それだけ妃殿下の受けられたストレスが大きいものであったということであり、治療、即ちストレスの軽減に時間がかかる状態だということであります。東宮職医師団としましては、個々のストレスあるいはストレス因子の内容について言及することは控えるべきであると考えておりますが、現状において、妃殿下のストレスの軽減がどのような速度でもって行われるかを具体的に見通すのは難しいことをご理解いただければと考えます。

     このような状況の中で、妃殿下におかれましては、公私を問わずご活動の幅を広げられることにより、小さいことでも何かを達成できたというご体験、ご発病後に出来なくなっておられたことを再び行うことが出来るようになったというご体験を、時間をかけながら積み重ねていただき、自信を回復していただくこともまた大切だと考えて、治療を進めてまいりました。妃殿下の今後のご活動に関しましては、平成17年の東宮職医師団見解ですでに明らかにしておりますように、ご公務に加えて、ご養育などご家庭で果たされる役割、妃殿下のライフワークになるようなご活動をバランス良く、ご無理のない範囲で広げていっていただくことが肝要と考えております。

     東宮職医師団として、このような治療を行うに当たって必要とされる事柄についての気づきました点をいくつか指摘させていただきたいと考えます。

     まず、妃殿下ご自身のご努力ですが、妃殿下はご自分のご病気治療についての認識をしっかりと持っておられ、東宮職医師団の治療方針に則り、ご活動の幅の拡大、自信の回復などに頑張っていらっしゃいます。ときには、前述の通り、東宮職医師団として妃殿下が無理をされすぎないように進言することもあります。ぜひ、焦られることなく、ご快復に向けてゆっくりと進んでいっていただきたいと考えております。

     精神疾患の治療では温かい人間的な環境が不可欠ですが、皇太子殿下におかれましては、そのことを十分にご理解いただき、いつも変わらず力強くお支えいただいていることに感謝申し上げます。東宮職としての支援体制に関しましては、更に充実させる余地があり、東宮職医師団としましても、妃殿下をお支えできる環境を整えていけるように、協力させていただきたいと考えております。

     マスコミの皆様との関係は従来から、ご治療にとって重要な事柄のひとつになっております。妃殿下のご活動に当たっての取材につきまして、宮内庁記者会はじめ多くの皆様方に種々ご協力をいただいていることに感謝申し上げますと同時に、今後とも人間的で温かいご配慮をお願いしたいと考えております。他方で、取材活動あるいは報道内容が妃殿下にとって大きなご負担になっているのも現実です。週刊誌などにおいては、事実に反する憶測記事や中傷記事の掲載が変わらず続いており、妃殿下のご病気治療に好ましくない影響を与えるものと危惧しております。

     これに関連して、7月に東宮職医師団が出しました記者の皆様への要望につきまして十分ご理解いただけていない面がありましたので、補足的に説明させていただきます。一般論として、患者さんが頑張って治療に取り組み、それが実を結びつつあるときに、出来ていることに全く触れないまま、出来ていないことだけが取り上げられますことは、いくら頑張っても不十分だと言われるのと同じで、とてもつらく感じられるものです。そうした気持ちは、病気からの快復の妨げになるだけでなく、病状の悪化につながりかねず、精神疾患の治療で非常に気を遣うところであります。殿下の外国訪問に関連した妃殿下についての質問におきましても、こうした配慮をお願いしたいと考え、敢えて先の要望を行ったものです。なお、東宮職医師団としましては、宮内庁記者会の皆様をはじめ、国民の皆様方より、妃殿下のご病状をご心配いただいて温かい声をかけていただいていることにつきまして、お心遣いを有り難く思っているということも付け加えさせていただきます。

     最後に、国民の皆様の温かいご理解を賜り、これからも長い目で見守っていただきますよう、お願い申し上げる次第です。

      【共同通信】

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