韓国を正しく考察するブログ

第2話

◇同日 大韓民国 ソウル
緯度から見ればソウルは日本のあらゆる立派な北国だ。リベリア寒気団は韓半島を凍てつく寒さに追いやり、数年前から細々と始まった市民団体や企業による貧しき人への練炭配給はもはや例年の行事となりつつある。しかし、昨年は配る側だったものの今年は受ける側へと転落する者も現れ、また受け取る人々の列は年を追う毎に長くなりつつあるのは間違いないだろう。
アメリカのサブプライムローンから始まった世界的な経済問題は外需に依存していた韓国を直撃し、かつてのIMF危機を遙かに上回る経済危機を迎えるになった。
前回の危機にも生き残った数少ない財閥・コンテルンは軒並み欧米外資に食われ、いやがおうにも韓国の反日感情を刺激した。特に悲惨だったのが韓国の輸出を支えてきた近代グループとエニスングループで、ドル枯渇による決済不能の不備をつかれ一気に破綻。結果として欧米資本によるグループ強制解体をされいわば美味しいとこを吸い取られた格好となり、そこに来たIMFの改革提示は農業軽工業を産業主体とした中小国家への転身であり、アジア二大工業国としての韓国の自尊心からみて到底受け入れがたいもので、多くの韓国民を反日に駆り立てることになった。


◇同時刻 青瓦台（大統領府）
「なんでこんなことになっちまったんだ」 大韓民国大統領李明弘は本日17回目のため息をついた。原因はわかっている。前大統領の廬文弦の素人同然の経済政策と外交運営のせいだ。廬が政権末期に出した不動産投資にたいする税的政策は投資を抑制するどころか一気に不動産市場全体を冷え込ませ、建設業全体を巻き込んだマイナススパイラルを生じさせた。更にアメリカ日本に対するルサンタマン外交は民族感情を高揚させたものの、両国からの長期的信頼を損ねることになり、かつての共産圏からの防波堤を大義名分にした実利取得外交を困難な物にしていた。
結果、サブプライム余波による経済危機を両国からの支援を受けることができず、厳しい運営を韓国だった。

経済破綻をした国の大統領などいわば単なる飾りだ。もっとはっきり言えばIMFの傀儡にすぎない。連日マスコミは私を無能呼ばわりするが、その原因をつくった張本人である廬を大統領に押し上げたのは間違いなくマスコミとネット世論だった。
「忌々しい」 そう思ったものの現実社会は私の本心などお構いなしに連日デモが続き、日を追う毎に過激化しもはや韓国の内政は収集つかなくなりつつあった。
「こうなったらやむを得ない」李はつぶやいた。内部をまとめるには外部に敵を作る。古今東西から用いられてきた権力者の常套手段だ。
「いっちょやるか」李大統領は呟いた。その視線の先には韓国のライバル日本の地図があった。


コンコンコン、「失礼します」

李は突然のノックに我れに還った。

（つづく）



※今回までは舞台の状況説明。第３回から劇的な展開

次回配信は明日水曜日の予定