TOP > 【Design Studio】 プロボクサー 坂田健史氏 VOL.3
プロボクシングWBA世界フライ級チャンピオン 坂田健史さんにお話をうかがいます。今回は2008年3月29日に行われた世界タイトルマッチ、山口真吾戦について語っていただきました。7月まで5回にわたり、坂田さんのインタビューをお届けします。
編集:佐伯幸治(AirHead)/文:前田成彦(Office221)/写真:和田達彦
--3月に行われた、山口真吾選手とのタイトルマッチについてお話をうかがいたいと思います。3対0の判定勝利でしたが、3回に山口選手の右のカウンターパンチでダウンを奪われてしまうなど、スリリングな展開になりました。無事タイトル防衛を果たした感想をお聞かせください。
「正直、反省の多い試合でしたね。前回(2007年11月4日 対デンカオセーン・カオウィチット)から2戦連続で、試合の序盤にダウンを取られてしまいましたから。山口選手の右のパンチは、警戒していたんですが…。
ダウンした瞬間は、まずい! と思いました。でも、立ち上がってからは不思議と冷静になれました。とにかくこのラウンドは、ダメージを回復させるため耐えて守り切ろうと。
もともとの作戦として、1ラウンドからやみくもに攻めるのではなく、しっかり相手を見ていこうと考えていたんです。ところが1ラウンドから山口選手が前に出てきて、2ラウンドまでポイントを取られ、3ラウンドにはダウンも奪われてしまった。その時点で4ポイント差がついてしまったので、次のラウンドからはもう、1ラウンドも落とせなくなった。そのため自分から前に出て、プレッシャーをかける戦い方に切り替えました」
--4回からは積極的に攻め、ダウンのダメージを感じさせない見事な追い上げを見せて判定勝利を挙げました。試合後半でのスタミナには自信をお持ちなのですか?
「いや、決してそんなことはないんです。『作戦だろ?』なんてよく言われるんですが(笑)、自分では“追い上げ型”という自覚はありません。
ボクシングを始めた時からずっと、スタミナには自信ないんです。普段の練習でも、意識してスタミナをつけるための練習をしているわけではありません。毎日の練習自体がすごくハードで、必死でこなすうちにある程度の体力がついた感じでしょうか。でも、スタミナは誰にも負けないと胸を張れるほどの自信は今もありませんよ」