山形大医学部に医薬品安全対策の講義―国内初
山形大医学部は2010年度から、医薬品・医療機器の承認審査や市販後安全対策、薬害の問題などについて総合的に学ぶ講義を、医学部内に新しく設置する。国内の医学部には現在、薬理学の講義などはあるが、薬害問題や医薬品の規制の仕組みなどについて系統立って学ぶ講義の開設は、全国でも初の試みになる。山形大の嘉山孝正医学部長は「基礎医学と法令や規制についてなどの実学が混ざった、全国でも初めての講義。全国医学部長病院長会議などでも呼び掛け、国内に広めていきたい」と話している。
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ドラッグ・ラグから市販後安全対策へ―薬害検討委員が学会発表 講義の内容は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施している医薬品や医療機器の承認審査や、市販後の安全対策、副作用の被害拡大防止の方法のほか、薬害の問題などについてで、週1コマ。レギュラトリー・サイエンス(編注)も取り入れ、医療分野での法的規制についても学問として学ぶ。薬理学や工学、法学などの教員を3人程度増員する見通し。
嘉山医学部長は「これは医学部の中の社会科。今の若い医師は、患者にただ情報を伝えればいいと思っていたりして、患者の気持ちが分かっていない。薬害を一つのテーマに取り上げ、医師の社会性を養っていきたい。そうすれば良い医療人になれる」と話す。
PMDAの近藤達也理事長は「非常に頼もしい取り組み。PMDAとしても定期的に講師を送るなどして支援していきたい」と、この取り組みに期待感を示している。
このほか、山形大医学部は医学部生が3年生の時に、小児科や産科、救急医学、外科のいずれかを選択、県内で卒後研修を受け、後期研修ではこの4分野を選べば、4−6年生の3年間の授業料(年間約53万5800円)を全額免除するという、こちらも全国初の取り組みを決めたばかり。大学を挙げて医師不足の解消や医師養成の在り方の改善に積極的に取り組んでおり、嘉山医学部長は「学部長でないとできないことがあるのだから、トップに立つ人間が実行していかないと何も変わらない」と話している。
(編注)レギュラトリー・サイエンス(Regulatory Science)…医学研究などによる発見や成果を、法律や慣習などさまざまなルールがある現在の社会にどう適合させるかといったことを研究する新しい学問分野。適した訳語はまだない。
更新:2008/12/08 11:00 キャリアブレイン
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