大学を卒業した研修医が、04年から始まった臨床研修制度で禁じられている他病院でのアルバイトをしていたケースが、07年度までに61病院278人に上ることが、厚生労働省の調査で分かった。不適切なアルバイトの全国的な実態が明らかになったのは初めてで、厚労省は「研修先の病院の給与格差が背景にある」とみている。
研修医のアルバイト診療は違法ではないが、医療事故防止などの観点から、厚労省令で「病院は研修プログラム以外の臨床研修をしてはならない」と定めている。
厚労省が都道府県の検査などで発覚した違反例をまとめたところ、研修医がアルバイトをしていたのは、研修病院に指定されている約1100施設のうち、大学病院16施設、一般病院45施設。関東(19施設)と近畿(39施設)の病院が大半を占める。研修医は「禁止規定を知らず、自分で探した」「先輩医師に頼まれた」などと話しており、病院側が組織的に指示したとの報告はないという。
また、厚労省が今年3月、違反があった場合は翌年度以降の募集定員を減らすとの通知を出したことなどで、今年度は全病院が是正したとしている。
研修医の給与は、厚労省が月30万円程度との目安を示しているものの設定は各病院の自由で、月80万円以上から20万円以下まで大きな開きがある。厚労省医事課は「都市部の私立大学は給与が低い傾向があり、研修医のアルバイトも多かった。指導を徹底したい」と話している。【清水健二】
毎日新聞 2008年12月8日 21時59分