【編集日記】(11月28日付)
近くの病院で胃カメラによる検査を思い切って受けた。数カ月間、胃に違和感があったためだ▼胃カメラは国産技術による画期的な検査法。バリウムをのむエックス線透視検査より精度は高く、胃がんや胃かいようなどの早期発見に欠かせない。早く見つかれば早く治療を受けられる▼確かな診断法がないと、病気の正体も治療法も分からない。がんもそうだった。日本で診断がつくようになったのは、明治時代だという。それ以前は別の病気にされたが、がんで亡くなったと思われる歴史上の人物を「病が語る日本史」(酒井シヅ著・講談社)で触れている▼例えば、徳川家康。死因は食中毒との説もあるが、腹にしこりがあり食欲がなかったなどの症状から胃がんだったのだろうと推測する。会津藩主蒲生氏郷には毒殺説も伴うが、下血などから大腸がんだった可能性が高いという▼さて、冒頭で述べた胃カメラによる検査結果は軽い胃炎だった。診断には2人の医師がかかわったので、より確かなはずだ。検査自体も医師のていねいな説明で順調に進んだ▼身近に病院があるとやはりありがたい。だが問題は医師不足。胃の検査を受けた病院でもお産を扱わないようになって久しい。いくら検査や診断技術が進んでも診てくれる医師がいないと、“明日”が見えてこない。
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