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ここから本文エリア 企画特集1
県内の研修医、微増 三重大回復、16人に2008年12月08日
医学部の卒業生に義務づけられた臨床研修制度が始まって5年。研修医の充足率が全国の大学病院で最低だった三重大付属病院(津市)が来年度は、初年度以来となる10人以上の新卒者を確保した。県全体でも微増の見込みだ。それでも定員の6割に満たず、ゼロの病院も6カ所ある。このままだと、将来的にも医師不足を解消できない状況だ。 募集定員26人に対し集まったのは6人で23・1%。全国の大学病院で今年度、最も低い割合だった三重大付属病院で来年度、2次募集を含めて16人が研修することになった。 同病院では「学生へのアピールが不足していた」として今年度、卒後臨床研修部に、学生と年齢の近い5〜10年目の若手医師2人を配置。実習などを通じて年の近い医師が学生とかかわる機会を設けた。09年度の研修医のうち8人が女性。来年4月には女性医師のスタッフも加わり、卒後臨床研修部に所属する医師は6人に増える。 来年度からは、県外の施設とも協力関係を結び、済生会千里病院救命救急センター(大阪府)や亀田総合病院(千葉県)、東大付属病院(東京都)など10病院で、一定期間の研修が選択できる。 臨床研修が必修化になる直前の03年度、三重大卒業生のうち、同大付属病院で研修する医師は72・5%だったが、04年度以降は激減。来年度卒業予定の90人のうち、県内病院での研修を選択している学生は50人。約半数が県外の病院に流出している状況だ。 卒後臨床研修部の桜井洋至講師は「特に大学病院は難しい症例が集まる病院で、一般的な疾患の患者を診られないと思っている学生が多い。様々な経験を積みたいと考える学生も多いため、一般的な症例の多く集まる県外のトップレベルの病院に協力施設になってもらった」と言う。 三重大には海外研修もある。三重大出身で研修2年目の医師、伊藤貴康さん(28)も、今年6〜7月の1カ月間、米国のニューメキシコ大学のER(救急部)で研修を積んだ。伊藤さんは「若くて、まだ自分の治療スタイルが固まっていない段階で、いろいろな病院を経験できるのは刺激になる。海外の病院にいけるのも三重大を選択した理由の一つ」と話す。 ◆「都会志向」変わらず◆ 研修医を募集しているのは、県内の21病院=表。定員154人に対して90人で、58・4%だった。東京都は91・7%、神奈川県は80・1%、近隣では愛知県も73・2%と、依然として、大都市圏を希望する学生が多い傾向は変わらない。 東紀州地域の尾鷲総合病院(尾鷲市)や紀南病院(御浜町)は6年連続で研修医が決まらなかった。ほかにゼロだった病院は、桑名市民病院(桑名市)、四日市社会保険病院(四日市市)、津生協病院(津市)、岡波総合病院(伊賀市)の4病院。昨年より2病院増えた。県健康福祉部の西口裕医療政策監は「指導医の多い一定の規模がある病院に希望者が集中している傾向」と話す。 それでも来年度から県内の病院で研修を始める医師が、08年度よりも8人増えた。「研修医の多くが、2年間の臨床研修を受けた県に残ることを考えると、わずかでも、県全体の医師数が増えることにつながる」と、西口医療政策監は歓迎する。 県内の研修病院などが参加し、研修のプログラムを検討したり、医学生向けの合同説明会を開催したりしているNPO法人「MMC卒後臨床研修センター」理事長の内田淳正理事長(三重大付属病院長)は、「研修医の数がプラスになった県は少ない。プログラムの自由度を高くして、研修医が比較的自由に学びたい診療科を選択できるようにしたことが、功を奏したのでは」と話す。「ただ、学生の都会偏重志向は変わらない。プログラムの良さをPRするとともに、三重県の医師不足の現状を訴えて、一人でも多くの学生に戻ってきてもらわなければ」という。 ただ、研修プログラムを新しくしても、県外の大学へ進学した三重県出身者に対して、どうPRすればいいのかか。県医療政策室は「高校の同窓会などを通じて医学部へ進学した学生を把握しようと試みているが、個人情報保護法が壁になり同窓会名簿なども入手できない。医学生へのアプローチは、医師の個人的なつてに頼っている状態だ」と頭を悩ませている。 ◎臨床研修制度 04年度から医学部を卒業した後、2年間の臨床研修が必修化された。専門分野にかかわらず、どの医師も病気の初期診療ができる能力を備えられるようにするのが目的。内科、外科、救急など必修の診療科と、選択できる診療科がある。研修先は自由に応募でき、各病院の募集枠に応じて決まる。研修医が減った大学病院は、地方の病院に派遣していた医師を引き揚げ、各地で医師不足を招いている。
マイタウン三重
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