お金・給料の新常識
2008年 12月 7日

まかり通る「オプション抜き」のボッタクリ商法

葬式一式料金:葬式、お坊さんで失敗しない知恵【3】

葬儀業界で言うところの「葬儀一式」とは、必ずしも「すべて」ではなく、一部分である。

キーワード: 葬儀 夫婦・家族
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■一式以外の費用総額は100人規模の葬儀で70万~100万円!

葬儀の見積もりには2種類の方法がある。葬儀に必要なものを1つずつ加算していく「項目積み上げ方式」と、ある程度の項目をパッケージ化した「葬儀一式方式」だ。
 以前は、項目積み上げ方式が圧倒的に多かったものの、項目がわかりづらく素人には理解できないことや、打ち合わせに時間がかかるなどの理由で、現在では「50万円プラン」などの葬儀一式方式が主流となっている。

ところが、葬儀業界で言うところの「葬儀一式」とは、必ずしも「葬儀を行えるすべて」ではなく、葬儀の一部分しかまかなえないものになっている。
 この葬儀一式には、主に祭壇飾り、棺一式、人件費など、「儀式そのもの」は行える内容が入っている。

しかし、葬儀を一通り執り行うためには、ほかにもさまざまなものが必要になる。斎場の利用、返礼品、飲食、霊柩車などの車両関係、火葬料などの「実費」と呼ばれる項目だ。これら実費分に関しては、葬儀社は仕出し屋、ギフト屋などの各業者に手配を行う「商社」のような機能を果たしている。金額の目安としては、100人規模の葬儀で約70万~100万円程度。これら実費分の項目は葬儀一式料金には含まれておらず、プラン金額にそっくりそのまま乗っかかってくるのだ。

また葬儀一式プランと聞くと、セットになっている分、料金は安く提供されるようにも感じるが、それは数字の見せ方にトリックがあるにすぎない。

ざっと90万円はかかる!?「葬儀一式」に含まれない項目
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ざっと90万円はかかる!?「葬儀一式」に含まれない項目

例えば「市場価格100万円の葬儀プランが50万円に」というもの。そもそも葬儀というものには「定価」がない。祭壇を例に挙げると、祭壇を販売する業者から仕入れる「下代」はあっても、販売価格である「上代」は決まっていない。仕入れ価格300万円の祭壇を購入したとして、葬儀業者はそれに100万円の値をつけようが、50万円の値をつけようがすべて自由。金額や利幅の設定は、業者がそれぞれ自由に決めることができるのだ。数回使えば元が取れ、あとはほとんどが利益となる仕組みになっている。

葬儀には市場価格自体が存在しないのだから、100万円が半額というのは単なる二重価格。祭壇が半額と言われても、「元の値段」が不透明なため、利用者が料金を比較しようにも、比較しようがないのだ。

さらに、葬儀業者が葬儀一式の内容を最低限の簡素なものに設定している場合などは、あらゆる項目にオプションが設定され、追加料金が発生する。例えば、遺影写真をモノクロからカラーに変更したり、花飾りを付けるなど、一つひとつを見れば小額のため安心しがちなのだが、勧められるまま依頼してしまうと葬儀費用は膨れ上がってしまう。その都度、総額を確認しながら、必要なものとそうでないものを冷静に判断しなければならない。

このように葬儀一式とは、業者が自社提供できる利益率の高い項目の寄せ集めにすぎず、手配だけを行う実費分に関しては、自社提供ではないから一式には含まれない。これら料金体系は、すべて業者の都合によってつくられているわけだ。もし葬儀に直面したときは、「実費分を含めた総額」で葬儀費用を把握することが、トラブルを避けるために私たちができる、ただ一つの防衛策だと知っておこう。

プロフィール

市川 愛

リリーフ代表
2004年に日本初の葬儀相談員として葬儀の相談機関「リリーフ」を設立。葬儀の事前準備サポートほか、講演、執筆、葬儀社へのコンサルティング等を行う。著書に『身近に亡くなりそうな人がいたら読む本』など。http://www.re-lief.com

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