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【埼玉】

医師、看護師の確保急務 産科再開など経営改善へ 春日部市立病院事業管理者 小谷昭夫さん

2008年12月8日

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 《全国的な医師不足で医療崩壊が社会問題化する中、春日部市立病院も産科・小児科の休診、約四十二億円の累積赤字など医療体制、経営の再建が急務だ。十月から、財務規定のみ適用していた地方公営企業法をすべて適用することで、病院経営の最高責任者が市長から事業管理者になり、人事・予算の権限が与えられた》

 院長と事業管理者の分担は難しいが、院長は医療全体を、事業管理者としては経営的なものをしっかり見ていく。認可病床は三百五十床ですが、常勤医の定数六十四人に対し現在四十人、看護師などが二百二十二人。二百九十七床で運営している。

 まず医師、看護師を確保して三百五十床を動かすことが経営改善につながるだろう。医師にとっていかに魅力ある病院にするか。医師数の多い病院には医師が集まるので、医師確保は絶対条件。

 《産科・小児科医不足で、安心して産み育てる医療体制が崩れている。休診していた小児科に非常勤医師を補充して、今年二月から外来のみ診療を復活した》

 以前は小児科に常勤医が五人いたが、退職してしまい休診となった。産婦人科には常勤が二人いて婦人科は続けているが、小児科のバックアップがなくなり、産科はストップしたまま。再開の要望を強く感じているし、重要性は認識している。

 産科の正常分娩(べん)を再開し、小児科の常勤医を確保したい。開業医には難しいハイリスク分娩を預かるのが役割だと思っている。二〇〇九年四月には産科再開に向けた最初のステップがあるかと思う。

 《自治体病院は八割が赤字経営。同病院も〇七年度に市が補てんした欠損金は約七億五千万円で、累積補てん額は約四十二億円に上る。延べ入院、外来患者数、患者収益の減少が止まらず、経営は悪化している》

 累積欠損金をこれ以上増やさず、総務省の公立病院改革ガイドラインに沿って三年以内に(毎年の)補てん部分を限りなくゼロに近づけたい。

 医師が一人増えれば一億円の増収となる。患者を増やすには、何か突出した特徴ある病院にならないといけない。十月に糖尿病の常勤専門医がきた。短期入院でしっかりと教育的指導をしていきたい。

 東部で地域がん診療連携拠点病院はここと独協医大越谷病院だけで、放射線治療などをもっと伸ばしていきたい。医師、看護師、患者に選ばれる病院づくりが必要だ。 (高橋恒夫)

 和歌山県出身、東京都在住。66歳。1968年に日本大医学部卒業。77年に日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医、78年に同大医学部兼任講師(脳神経外科)、96年に一心会上尾甦生病院長、98年から今年9月まで春日部市立病院長。

 

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