落ち着いて振り返れないまま、二〇〇八年が暮れようとしています。岡山県内では今年も、多くの政局劇が繰り広げられました。
無投票を除く三つの市長選は、すべて新人が勝利しました。県内の市長選で、現職・前職は〇四年四月から実に八連敗です。十月の知事選も現職が勝ったとはいえ、わずか二カ月前に出馬表明した新人に迫られました。米大統領選やテレビドラマだけでなく、「チェンジ」の波は私たちの足元を洗っています。
底流にあるのは、ぬぐいがたい閉塞(へいそく)感。景気後退は深刻で、年金や医療制度も揺らいでいるのに、国も地方も政治は心もとない限りです。政治に限らず、旧来の権力構造に不信が募り、その象徴である現職首長や政権与党に矛先が向いているように思えます。有権者にとって、現状維持は「停滞」ではなく「衰退」と映るのです。
ただ、挑戦者の立場でチェンジを訴えた候補者たちも、内容に具体性を欠き、その先の展望も不十分だった印象は否めません。何をどう変え、どんな社会を目指すのか。当選しても、目標と手法を明らかにし、実績を積まなければ、すぐにしっぺ返しを食らうでしょう。次の選挙は、苦戦が続く現職の仲間入りなのですから。
来春は合併後四年となる市や町の選挙が集中します。九月までには必ず衆院選もあります。現職や新人、与党や野党を問わず、「変革」「改革」の訴えが躍ることでしょう。岐路に立つ国や地域を託す重い一票。言葉や見た目に惑わされることなく、本質を見極めねばなりません。
(政治部・小寺幸治)